SUPERワールドスタジアム

SUPERワールドスタジアム シリーズ

『SUPERワールドスタジアム』は、かつてナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメントおよびバンダイナムコアミューズメント）が開発・販売していたアーケード向けの野球ゲームシリーズです。『プロ野球ファミリースタジアム』（ファミスタ）のアーケード版である『プロ野球ワールドスタジアム』（ワースタ）の後継として位置づけられ、1991年から2001年まで（途中で一時中断あり）展開されました。

このシリーズは、使用されたアーケード基板によって大きく3つのバージョンに分けられます。

SYSTEM II 基板期（1991年～1993年）

シリーズ最初のバージョンで、『SUPERワールドスタジアム』（1991年）、『'92』、『'92激闘版』（共に1992年）、そしてSYSTEM II基板最後の作品となった『'93激闘版』（1993年）の計4タイトルがリリースされました。

この時期には、画面レイアウトが刷新されました。従来の縦3分割表示から、投手と打者のデータを独立した枠に表示し、一塁・三塁の走者は必要に応じて小窓で表示する方式に変更。この新しいレイアウトは、後に家庭用スーパーファミコン向けに発売された『スーパーファミスタ』以降の作品にも採用され、ファミスタシリーズのスタンダードとなりました。

また、『'92』からはシリーズの大きな特徴として、選手名および球団名が実名化されました。前作までは架空の名称が使われていましたが、日本野球機構（NPB）から正式なライセンスを得たことで実現しました。さらに、ウグイス嬢による臨場感あふれるアナウンスもこの時期に導入されています。ただし、アーケード版と家庭用で一部球団の架空名称が異なるなど、細かな相違点も見られました。

初代『SUPERワールドスタジアム』のみ、実在12球団以外に個性的な追加球団が登場しました。過去のOB選手で構成される「オービーズ」、1950年代に活躍した選手を集めた「フィフティーズ」、そしてアメリカンリーグ、ナショナルリーグのオールスターチームである「アメリカンズ」「ナシオナルズ」です。これらの球団は『'92』以降は姿を消しました。球場も増加し、モデルとなった実在球場に対応する4つの球場を選択できるようになりました。『'92激闘版』以降は、特定の球団を常に好調状態にする「特別仕様モード」も搭載されています。

NB-1 SYSTEM 基板期（1995年～1997年）

1993年の『'93激闘版』と1995年の『'95』の間には、『グレートスラッガーズ NEWワールドスタジアム』（GS）という、よりリアルな選手描写を特徴とする別シリーズが展開されました。この『GS』を挟んで再開された『SUPERワールドスタジアム』シリーズが、NB-1 SYSTEM基板を使用したバージョンです。『'95』（1995年）、『'96』（1996年）、『'97』（1997年）の3タイトルがリリースされました。

選手の体型は『'93』までの丸みを帯びたデザインに戻されましたが、球場データなど一部には『GS』からの要素が引き継がれています。このバージョンは、アーケードゲームがポリゴン描画へと移行する時代にあって、『'97』がナムコがリリースした最後のドット絵描画による野球ゲームとなりました。

ゲームモードも拡充され、従来の単発試合に加え、「プロ野球公式戦」や「プロ野球トーナメント」が追加されました（『'97』ではトーナメントモードは廃止）。また、『GS』で採用された指名打者（DH）制度の導入選択も可能になりました。

『'96』以降には新たな追加球団が登場しました。『'96』限定で、OB選手が活躍した年代別に編成された「60's」「70's」「80's」「'90's」の4チームが登場。これらのチームはOBクラブの認可を得て実名を使用しましたが、使用頻度の低さからか翌年には廃止されました。『'96』以降は、初代に登場したアメリカンズとナシオナルズを集約したアメリカ大リーグのオールスターチーム「U.S.A」も登場しています。球場も『GS』で追加されたものを含め、6球場から選択可能になりました。

SYSTEM12 基板期（1998年～2001年）

シリーズはSYSTEM12基板へとプラットフォームを移し、表現方法が大きく変化しました。『'98』（1998年）、『1999』（1999年）、『2000』（2000年）、そしてシリーズ最終作となる『2001』（2001年）がリリースされました。

この時期の最大の特徴は、選手の描画がポリゴンに変更されたことです。これにより、画面レイアウトやゲームシステムも大幅に刷新され、家庭用シリーズ（特に『スーパーファミスタ4』以降）で進んでいたシステム変更がアーケード版にも導入されました。

『1999』からは「勝ち抜きトーナメント」モードが導入されました。このモードでは試合が7回表から開始されるため、追加コインなしで決着をつけやすくなりました。「ワースタ杯」と呼ばれるトーナメントを勝ち進めば、少ないクレジット数でエンディングに到達することも可能となりました。

また、球場表現も進化し、それまで架空の名称だった球場が実名化されました。NPB12球団の本拠地である11球場（当時、東京ドームは2球団の本拠地）に加え、家庭用で人気の「河川敷球場」や、ヤンキースタジアムをモデルにした「メジャースタジアム」も選択肢に加わりました。

アーケード版で初めてナムコスターズが登場したのもこの時期です。『'98』では「東京ナムコスターズ」「大和撫子プリティーズ」（後に「ニコタマギャルズ」へ改称）、「鉄拳ウォリアーズ」の3チームに分かれていましたが、『2000』で「ナムコオールスターズ」として集約されました。選手のグラフィックは個別に用意され、ユニフォーム姿ではなく、元のゲームでの姿で登場するキャラクターも多く見られました。ナムコオールスターズは、家庭用とは異なり、ピノをはじめとする俊足選手や強力な代打陣を擁する強力なチームとして描かれました。

『2000』以降は、試合開始前の打順変更だけでなく、控え選手との先発メンバー入れ替えや、試合中の投手を含む守備位置変更も可能となり、戦略性が増しました。さらに、2ストライク3ボールの状況から始まる「一球勝負モード」や、PlayStation版『ワールドスタジアム3』以降のメモリーカードを使用して、家庭用で育てたオリジナル選手「分身くん」をゲームに参加させられる「スロットリンクシステム」など、新しい遊び方も導入されました（対応筐体のみ）。

2002年以降、アーケードにおけるナムコの野球ゲーム展開は、SYSTEM12基板を使用したリアル志向の『熱チュー! プロ野球』シリーズへと移行し、『SUPERワールドスタジアム』シリーズのリリースは終了しました。

なお、シリーズ全作品は、部品調達が困難になったことに伴い、2017年10月をもって修理サポートが終了しています。

もう一度検索