SYSTEM12

アーケードゲーム基板SYSTEM12：PlayStation互換基板の進化形

ナムコ（現バンダイナムコエンターテインメント）が開発したアーケードゲーム基板SYSTEM12は、その前身であるSYSTEM11をベースに、PlayStationとの高い互換性を維持しながら、処理能力の大幅な向上を実現した基板です。

SYSTEM11からの進化

SYSTEM12は、SYSTEM11と基本的なシステム構成は共通しています。CPUにはMIPS R3000Aを採用しており、SYSTEM11やPlayStationで使用されていたものと同型です。しかし、SYSTEM12ではCPUの動作周波数をSYSTEM11やPlayStationの33.8688MHzから48MHzにまで向上させています。これは約1.5倍の速度向上に相当し、より複雑で高度なゲーム処理を可能にしました。さらに、拡張命令セットの追加やメモリの増量も行われています。メインメモリは2MB、ビデオメモリは2MB（PlayStationは1MB）と、SYSTEM11と比較して大幅な増強が図られています。サウンドメモリも512KBと、ゲームサウンドの表現力も向上しています。

タイトルラインアップ

SYSTEM12は、1997年3月に稼働開始した『鉄拳3』で初めて採用されました。その後も、格闘ゲーム、スポーツゲーム、シューティングゲーム、パズルゲームなど、幅広いジャンルのタイトルがリリースされました。ナムコ自身による開発タイトルのほか、外部開発会社が開発に関わったタイトルも多く存在します。

特に注目すべき点は、専用筐体や特殊なデバイスを必要とするタイトルの存在です。例えば、『テクノドライブ』や『パカパカパッション』シリーズ、『オーバキューン』、『ゴルゴ13』シリーズなどでは、ゲーム体験をより豊かにするために、専用筐体やデバイスが用いられました。これらは、単なるゲームソフトの移植だけでなく、アーケードならではの独自性を追求したタイトルと言えるでしょう。

以下に、SYSTEM12で稼働した主なタイトルを列挙します。

鉄拳3 (1997年3月): ナムコ
リベログランデ (1997年): ナムコ
新日本プロレスリング 闘魂烈伝3 (1997年12月21日): 開発：ユークス、発売：ナムコ
エアガイツ (1998年2月26日): 開発：ドリームファクトリー、発売：スクウェア
ソウルキャリバー (1998年7月30日): ナムコ
ソウルキャリバー Ver.B: ナムコ
テクノドライブ (1998年): ナムコ (専用筐体)
SUPERワールドスタジアム'98 (1998年): ナムコ
パカパカパッション (1998年): 開発：プロデュース (専用デバイス)
ダービークイズ マイドリームホース (1998年): 開発：モス、発売：ナムコ
てんこもりシューティング (1998年12月): ナムコ
ファイティングレイヤー (1998年12月): 開発：アリカ、発売：ナムコ
バストアムーブ2 (1999年): ナムコ
オーバキューン (1999年): 開発：エイティング、ライジング、発売：ナムコ (専用筐体)
ゴルゴ13 (1999年): 開発：エイティング、ライジング、発売：ナムコ (専用筐体)
パカパカパッション2 (1999年): 開発：プロデュース (専用デバイス)
鉄拳 TAG TOURNAMENT (1999年7月): ナムコ
SUPERワールドスタジアム1999 (1999年): ナムコ
パカパカパッションスペシャル (1999年): 開発：プロデュース (専用デバイス)
ミスタードリラー (1999年11月): ナムコ
ウンジャマ・ラミー (1999年): 製作：ソニー・コンピュータエンタテインメント、開発：七音社 (専用筐体)
アクアラッシュ (2000年): ナムコ
開運クイズ 幸福の旅人 (2000年): 開発：モス、発売：ナムコ
ゴルゴ13 奇跡の弾道 (2000年): 開発：エイティング、ライジング、発売：ナムコ (専用筐体)
カートデュエル (2000年): ナムコ (専用筐体)
トラック狂走曲 (2000年6月下旬): 開発：メトロ、発売：ナムコ (専用筐体)
テクノヴェルク (2000年8月上旬): ナムコ (専用筐体)
SUPERワールドスタジアム2000 (2000年): ナムコ
ガンバリィーナ (2000年12月): ナムコ (専用筐体)
ゴルゴ13 銃声の鎮魂歌 (2001年): 開発：エイティング、発売：ナムコ (専用筐体)
* SUPERワールドスタジアム2001 (2001年): ナムコ

これらのタイトルは、SYSTEM12の高い性能と柔軟性を示す好例と言えるでしょう。

まとめ

SYSTEM12は、PlayStationとの高い互換性と向上した処理能力を両立させた、アーケードゲーム基板の歴史において重要な存在です。数多くの名作タイトルを世に送り出し、アーケードゲーム黄金期の隆盛に貢献しました。

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