SYNC-BEAT BOX 〜893Days〜

『SYNC-BEAT BOX 〜893Days〜』（シンク・ビート・ボックス〜893デイズ〜）は、音楽ユニットaccessが1999年 6月23日にBMGファンハウスより発売した限定生産のボックスセットです。このタイトルに含まれる「893Days」は、accessがデビューから一時的な活動休止期間に入るまでの約3年間（およそ893日間）を指し示しており、その期間に彼らが発表した主要な音源をコレクションとしてまとめた企画盤となっています。

このBOXセットの中核を成すのは、厳選された合計5枚のCDです。具体的には、accessがこれまでリリースしてきたオリジナルアルバムの中から初期の3作品と、彼らの白熱したライブパフォーマンスを記録したライブアルバム2作品が収録されています。収録されたオリジナルアルバムは以下の通りです。

『FAST ACCESS』（ファスト・アクセス）
『ACCESS II』（アクセス・ツー）
『DELICATE PLANET』（デリケート・プラネット）

これらの3作品は、accessがブレイクを果たし、その革新的なサウンドスタイルを確立していった時期の代表的なスタジオアルバムです。シンセサイザーを前面に押し出した緻密なアレンジと、ポップでありながらも実験的な要素を含む楽曲は、当時の日本の音楽シーンにおいて独自の存在感を放っていました。

また、ライブアルバムとして収録されたのは以下の2作品です。

『LIVE ZEROS SYNC-ACROSS JAPAN TOUR '93-'94』（ライブ・ゼロスシンク・アクロス・ジャパン・ツアー '93-'94）
* 『LIVE ONES SYNC-ACROSS JAPAN TOUR '93-'94』（ライブ・ワンズシンク・アクロス・ジャパン・ツアー '93-'94）

これらのライブアルバムは、1993年末から1994年初頭にかけて行われた大規模な全国ツアーの音源を収録しており、accessのライブバンドとしての実力と、観客との一体感が生み出すエネルギーを感じ取ることができます。スタジオテイクとは異なる、ライブならではのアレンジや熱演が収められています。

本BOXセットがファンにとって特別な価値を持つ理由の一つに、これら5枚のCDが、それぞれが最初に発売された当時の初回限定盤の仕様を忠実に再現して復刻されている点が挙げられます。パッケージデザインや封入物など、リリース当時の特別感を再び味わえるような配慮がなされており、単なる過去作品の寄せ集めではなく、コレクターズアイテムとしての魅力を高めています。

さらに、BOXセットには、音楽評論家として知られる藤井徹貫氏が執筆した詳細なライナーノーツが同梱されています。このライナーノーツでは、収録された各アルバムの背景や、accessの音楽的な軌跡、そしてメンバーである浅倉大介氏と貴水博之氏に関する考察などが深く掘り下げられており、リスナーがaccessの音楽世界をより深く理解するための貴重な資料となっています。

市場におけるセールス面では、本BOXセットの累計売上枚数は0.5万枚を記録しています。

この『SYNC-BEAT BOX 〜893Days〜』は、実は販売元であるBMGファンハウスがレコード会社独自の企画として制作・販売したという経緯があります。そのため、accessというユニットそのものや、メンバーである浅倉氏、貴水氏の公式なディスコグラフィやバイオグラフィ、あるいは関連資料などには、このBOXセット自体が公式なリリースとして明記されていないという特徴を持っています。これは、アーティスト側の主導というよりも、レコード会社が既存の音源を活用して企画した側面が強いことを示唆しています。

総じて、『SYNC-BEAT BOX 〜893Days〜』は、accessが約3年間にわたって精力的に活動した初期の輝かしい軌跡を凝縮したBOXセットであり、ファンにとっては当時の熱狂を追体験できるアイテムです。復刻された初回限定盤仕様や藤井徹貫氏によるライナーノーツなど、コレクターズアイテムとしてだけでなく、accessの音楽とその背景を知るための資料としても価値のあるリリースと言えます。

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