S/2004 S 20

グリドル (Gridr) について

グリドルは、土星の第54番衛星として知られています。この小さな衛星は、天文学的な観測によって発見され、その独特な特徴から多くの関心を集めています。

発見の経緯と名称

グリドルの発見は、2019年10月8日に、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らによる観測チームによって報告されました。この発見は、小惑星センターのサーキュラーを通じて公表され、当初は「S/2004 S 20」という仮符号が与えられました。この仮符号に2004という年号が含まれているのは、発見自体は2019年ですが、使用された観測データが2004年12月12日から2007年3月22日の間に、すばる望遠鏡によって取得されたものだったためです。

この観測では、グリドルを含む合計20個の土星の新しい衛星が発見されました。これらの衛星には、確定番号として「Saturn LIV」が付与されました。

新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星の固有名を一般公募することも発表されました。グリドルは北欧群に属するため、その名称は北欧神話に登場する巨人にちなんで選ばれることになりました。公募は2019年10月7日から12月6日まで行われ、選考の結果、2022年8月24日に国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ (WGPSN) が正式名称を公表し、「Gridr（グリドル）」と命名されました。この名前は、北欧神話に登場する戦争と死を司る神オーディンの配偶者である女巨人グリーズに由来しています。

グリドルの特徴

グリドルは、推定直径がわずか4kmほどの小さな衛星です。その軌道は特異で、軌道傾斜角163°の逆行軌道を持っています。これは、土星の他の主要な衛星とは逆方向に公転していることを意味します。また、グリドルは北欧群に属しており、この群の他の衛星と同様に、かつて存在した大きな天体が衝突によって破壊された際の破片である可能性が高いと考えられています。

このようにグリドルは、その発見の経緯、命名、そして軌道特性において、他の衛星とは異なる興味深い特徴を持っています。この小さな衛星の研究は、土星系の成り立ちや進化についての理解を深める上で、重要な手がかりを与えてくれるでしょう。

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