S/2004 S 21

S/2004 S 21は、土星を周回する小さな衛星の一つです。この衛星は、2019年10月7日にスコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームによって発見が報告されました。発見当初は、仮符号として「S/2004 S 21」という名称が与えられました。観測には、すばる望遠鏡が使用され、2004年12月12日から2007年1月17日にかけて行われた観測データの中から発見されました。発見報告が2019年と比較的最近であるにもかかわらず、仮符号に2004という年号が含まれているのは、この観測データが2004年からのものであるためです。この一連の観測では、合計で20個もの新しい土星の衛星が発見されています。

S/2004 S 21は、推定直径が約3kmという非常に小さな衛星です。その軌道は、軌道傾斜角が156°という逆行軌道であり、土星の他の衛星とは異なる動きをしています。この衛星は、土星の衛星の中でも特定のグループに属しており、北欧群と呼ばれるグループに分類されます。さらに、北欧群の中でもスカジ群という副群に属していると考えられています。これらの群に属する他の小さな衛星と同様に、S/2004 S 21も、かつて存在した大きな母天体が何らかの衝突によって破壊された際に生じた破片である可能性が高いと考えられています。

この衛星を含む20個の新衛星が発見された際、これらの衛星の固有名を一般から公募することが同時に発表されました。S/2004 S 21が北欧群に属していることから、この衛星には北欧神話に登場する巨人に関連した名前が付けられる予定です。公募は2019年10月7日から12月6日まで行われ、その後、応募された名前の中から選考が行われ、最終的な名称が発表される予定です。同様の一般公募は、シェパード氏らが2018年に発見した木星の衛星に対しても実施されています。このように、天文学の分野では、一般の人々も天体の命名に関わる機会が設けられています。

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