S/2004 S 22

アングルボダ (Angrboda)

アングルボダは、土星の第55衛星であり、仮符号S/2004 S 22として知られていました。2019年10月7日に、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームによって発見が報告されました。この発見は、小惑星センターのサーキュラーで公表されました。

発見と命名の経緯

発見に使用された観測データは、すばる望遠鏡によって2004年12月12日から2006年2月1日にかけて取得されたものでした。発見報告が2019年に行われたにもかかわらず、仮符号に2004が含まれているのは、この観測データに由来します。この観測では、合計20個の土星の新衛星が発見されています。

2021年8月10日には、小惑星センター（MPC）が発行した小惑星回報「M.P.C. 133821」にて、アングルボダはSaturn LVという確定番号を与えられました。

発見された20個の新衛星の命名にあたっては、一般公募が行われました。アングルボダは北欧群に属するため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名称が選ばれることになりました。公募は2019年10月7日から12月6日まで実施され、寄せられた名称案の中から選考が行われました。

2022年8月24日、国際天文学連合（IAU）の惑星系の命名に関するワーキンググループ（WGPSN）は、北欧群に属する10個の逆行衛星の正式名称を発表しました。この発表で、S/2004 S 22はアングルボダと命名されました。アングルボダという名前は、北欧神話に登場する悪戯好きな神ロキの配偶者である女巨人、アングルボザに由来しています。

特徴

アングルボダは、推定直径がわずか約3kmの小さな衛星です。軌道傾斜角が177°という逆行軌道を持ち、北欧群に分類されます。北欧群に属する他の小さな衛星と同様に、アングルボダも、かつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際の破片であると考えられています。この衛星の発見と命名は、太陽系外縁部の衛星形成過程を研究する上で重要な知見を提供しています。

今後も、観測技術の進歩によって、アングルボダをはじめとする土星の衛星に関する新たな発見が期待されます。

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