S/2004 S 26

S/2004 S 26は、土星の第58番目の衛星として知られています。2019年10月7日、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジュイット氏、ジャン・クレイナ氏による観測チームが、小惑星センターのサーキュラーを通じてその発見を公表しました。この発見報告では、仮符号としてS/2004 S 26が付与されました。観測には、すばる望遠鏡が使用され、2004年12月12日から2007年3月21日にかけて取得されたデータから、この衛星が発見されました。発見の報告年が2019年であるにもかかわらず、仮符号に2004が含まれているのは、この観測データが取得された時期に基づいているためです。この一連の観測では、合計20個の新たな土星衛星が発見されています。

2021年8月10日、小惑星センター(MPC)は、小惑星回報「MPC 133821」を発表し、この衛星にSaturn LVIIIという確定番号を与えました。S/2004 S 26は、推定直径が約4kmの小さな衛星であり、軌道傾斜角171°の逆行軌道を持っています。この軌道特性から、この衛星は北欧群に分類されます。北欧群に属する他の小衛星と同様に、S/2004 S 26も、かつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際に生じた破片であると考えられています。

この衛星の軌道長半径は26,676,000kmに達し、フォルニョートを凌ぎ、土星から最も遠い軌道を公転する衛星となっています。公転周期は4年を超えており、土星の周りを非常にゆっくりと回っています。

S/2004 S 26を含む20個の新たな土星衛星の発見報告と同時に、これらの衛星の固有名を一般から公募することが発表されました。この衛星が北欧群に属するため、名称は北欧神話に登場する巨人にちなんだものが選ばれることになります。公募期間は2019年10月7日から12月6日までとされ、その後、選考を経て正式な名称が公表される予定です。なお、同様の衛星名の一般公募は、シェパード氏らが2018年に発見した木星の衛星に対しても実施されています。この公募を通じて、S/2004 S 26も、いずれは北欧神話に由来する魅力的な名前で呼ばれることでしょう。

この衛星の発見は、土星の衛星系の複雑さと、過去の天体衝突がもたらす影響を理解する上で、重要な知見を提供しています。また、一般公募を通じて、天文学への関心を高める機会にもなっています。

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