S/2004 S 27

エッグテル (Eggther) について

エッグテルは、土星の第59番目の衛星として知られています。この衛星は、2019年10月8日にスコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジュイット氏、ジャン・クレイナ氏らの研究チームによって発見され、小惑星センターの回報で発表されました。発見当初は「S/2004 S 27」という仮符号が与えられていました。

発見と命名の経緯

エッグテルの発見には、すばる望遠鏡が使用されました。観測データは2004年12月12日から2007年3月21日の間に取得されたもので、そのデータの中からこの衛星が発見されました。発見報告が2019年であるにもかかわらず、仮符号が2004となっているのは、この観測データが過去のものであるためです。なお、この観測では、合計20個の新しい土星の衛星が発見されています。

2021年8月10日、小惑星センター（MPC）は小惑星回報「M.P.C. 133821」にて、エッグテルに「Saturn LIX」という確定番号を与えました。

S/2004 S 27を含む20個の新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星の名称を一般公募することが発表されました。エッグテルは北欧群に属しているため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名前が選ばれることになりました。一般公募は2019年10月7日から12月6日にかけて実施され、集まった名称案の中から選考が行われました。

そして2022年8月24日、国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ（WGPSN）は、北欧群に属する10個の逆行衛星の正式名称を公表し、「S/2004 S 27」は「エッグテル（Eggther）」と命名されました。エッグテルという名前は、北欧神話においてラグナロクの始まりを告げる女巨人エッグセールに由来しています。

特徴

エッグテルは、直径が約3kmと推定される非常に小さな衛星です。軌道傾斜角は168°で、逆行軌道を持っています。これは、土星の自転方向とは逆向きに公転していることを意味します。また、この衛星は北欧群に属しており、この群に属する他の小さな衛星と同様に、かつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際の破片である可能性が指摘されています。この仮説は、エッグテルが、土星の歴史における過去の天体衝突の名残を今に伝えていることを示唆しています。

エッグテルは、その小さなサイズと逆行軌道、そしてその起源に関する推測から、土星の衛星系や惑星形成の歴史を研究する上で重要な対象となっています。

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