S/2004 S 31

S/2004 S 3|S_2004 S 31は、土星の数多くの衛星の一つであり、2019年10月8日に、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームによって発見が報告されました。この発見は、小惑星センターのサーキュラーを通じて公表され、S/2004 S 3|S_2004 S 31という仮符号が与えられました。

この衛星の発見には、日本のすばる望遠鏡が重要な役割を果たしました。観測データは2004年12月12日から2007年3月22日にかけて収集され、その中にS/2004 S 3|S_2004 S 31の存在が確認されました。発見報告が2019年に行われたにもかかわらず、仮符号が「2004」となっているのは、この観測データの取得時期に由来します。この一連の観測では、S/2004 S 3|S_2004 S 31を含め、合計20個もの土星の新衛星が発見されるという大きな成果を上げました。

S/2004 S 3|S_2004 S 31は、推定直径が約4kmと非常に小さな衛星です。土星の周りを順行軌道で公転しており、その軌道傾斜角は約49度です。この衛星は、イヌイット群と呼ばれる、土星の衛星群に属しています。イヌイット群を構成する他の小衛星と同様に、S/2004 S 3|S_2004 S 31も、かつて存在した大きな母天体が、過去の天体衝突によって破壊された際に生じた破片である可能性が高いと考えられています。

S/2004 S 3|S_2004 S 31を含む20個の新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星に正式な名前を与えるための一般公募が発表されました。S/2004 S 3|S_2004 S 31はイヌイット群に属しているため、イヌイット神話に登場する巨人にちなんだ名称が採用される予定です。公募期間は2019年10月7日から12月6日までとされ、その後、選考を経て正式名称が発表される予定です。この一般公募は、一般の人々が天文学に触れる良い機会となっており、宇宙への関心を高める効果も期待されています。

同様の衛星名の一般公募は、シェパード氏らのチームが2018年に発見した木星の衛星に対しても行われており、天体命名における一般参加の試みとして注目されています。

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