S/2004 S 32

グンロッド (Gunnlod)

グンロッド（仮符号 S/2004 S 3|S_2004 S 32）は、土星の第62番目の衛星です。この衛星は、2004年に観測されたデータの中から発見され、2019年にその存在が公表されました。

発見と命名

2019年10月8日、スコット・S・シェパード氏らの観測チームによって、小惑星センターのサーキュラーで発見が報告されました。発見時には仮符号 S/2004 S 3|S_2004 S 32 が与えられ、すばる望遠鏡を用いた2004年12月12日から2007年1月19日の観測データから発見されました。発見報告が2019年であるにもかかわらず、仮符号が2004となっているのは、この観測データが使用されたためです。

この観測では、合計20個の土星の新衛星が発見されました。2021年8月10日には、小惑星センター (MPC) が発表した小惑星回報「M.P.C. 133821」にて、Saturn LXII という確定番号が与えられました。

S/2004 S 3|S_2004 S 32 を含む20個の新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星の固有名を一般公募することが発表されました。グンロッドは北欧群に属するため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名称が与えられることになり、2019年10月7日から12月6日にかけて公募が行われました。

選考の結果、2022年8月24日に国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ (WGPSN) は、北欧群に属する10個の逆行衛星の正式名称を公表し、S/2004 S 3|S_2004 S 32 はグンロッド (Gunnlod) と命名されました。この名前は、北欧神話に登場する巨人スットゥングの娘であるグンレッド (Gunnlöð) に由来します。

特徴

グンロッドは、推定直径が約4kmと非常に小さな衛星です。軌道傾斜角160°の逆行軌道を持ち、北欧群に属しています。さらに、北欧群の中のサブグループであるスカジ群にも属すると考えられています。スカジ群に属する他の小さな衛星と同様に、グンロッドも、かつて存在した大きな天体が衝突によって破壊された際に生じた破片である可能性が高いとされています。

この衛星の発見と命名は、土星の衛星系の複雑さと、過去の天体衝突が衛星の形成に重要な役割を果たしたことを示唆しています。グンロッドのような小さな衛星の研究は、太陽系の形成と進化を理解する上で重要な手がかりを与えてくれます。

グンロッドのような小さな衛星は、その起源や組成、軌道など、まだまだ多くの謎を秘めています。今後の観測や研究によって、これらの謎が解明されることが期待されます。

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