S/2004 S 34

S/2004 S 3|S_2004 S 34は、土星の第64番目の衛星として知られています。この衛星は、2019年10月8日に、スコット・S・シェパード、デビッド・C・ジューイット、ジャン・クレイナという観測チームによって発見されました。発見は、小惑星センターのサーキュラーを通じて報告され、当初はS/2004 S 3|S_2004 S 34という仮符号が与えられました。

観測には、日本のすばる望遠鏡が用いられました。この望遠鏡で2004年12月12日から2007年3月21日にかけて行われた観測データの中に、S/2004 S 3|S_2004 S 34は記録されていました。発見報告が2019年になったにも関わらず、仮符号に2004という年号が含まれているのは、そのためです。この一連の観測では、合計で20個もの土星の新しい衛星が発見されました。

その後、2021年8月10日には、小惑星センター（MPC）が発行する小惑星回報「MPC 133821」で、この衛星にSaturn LXIVという確定番号が付与されました。これは、土星の64番目の衛星であることを意味します。

S/2004 S 3|S_2004 S 34は、推定直径が約3kmと非常に小さな衛星です。軌道傾斜角が166度という逆行軌道を持っており、北欧群と呼ばれる衛星グループに属しています。この北欧群に属する他の小さな衛星と同様に、S/2004 S 3|S_2004 S 34も、かつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際に生じた破片である可能性が高いと考えられています。

興味深いことに、S/2004 S 3|S_2004 S 34を含む20個の新衛星が発見された際、これらの衛星に一般から名前を募集することが発表されました。S/2004 S 3|S_2004 S 34が北欧群に属しているため、この衛星には北欧神話に登場する巨人にちなんだ名前が付けられることになります。公募期間は2019年10月7日から12月6日までで、その後選考を経て正式な名称が決定される予定です。

このような衛星名の一般公募は、シェパードらのチームが2018年に発見した木星の衛星に対しても行われています。これは、天文学の分野において、一般の人々にも関心を持ってもらうための試みの一つと言えるでしょう。

S/2004 S 3|S_2004 S 34は、その小さなサイズと特異な軌道から、土星の衛星系の形成過程や歴史を解明する上で重要な役割を果たすと考えられています。今後の研究によって、この小さな衛星からどのような発見があるのか、注目されます。

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