S/2004 S 38

ゲイルロッド (Geirrod) について

ゲイルロッドは、土星の第66番目の衛星として知られています。この小さな天体は、2004年の観測データに基づいて発見され、2019年にその存在が正式に報告されました。

発見と命名の経緯

2019年10月8日、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームが、小惑星センターのサーキュラーを通じてゲイルロッドの発見を発表しました。この発見には、すばる望遠鏡が使用され、2004年12月12日から2007年3月22日にかけての観測データが分析されました。発見報告が2019年に行われたにもかかわらず、仮符号が「S/2004 S 3|S_2004 S 38」となっているのは、この観測期間に由来します。

この一連の観測では、合計20個もの土星の新衛星が発見されました。その後、2021年8月10日に、小惑星センター（MPC）は「M.P.C. 133821」という小惑星回報を発表し、ゲイルロッドに「Saturn LXVI」という確定番号を与えました。

20個の新衛星が発見された際、同時にこれらの衛星の名称を一般公募することが発表されました。ゲイルロッドは北欧群に属するため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名称が与えられることになりました。公募は2019年10月7日から12月6日にかけて行われ、選考の結果、2022年8月24日に国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ（WGPSN）によって、S/2004 S 3|S_2004 S 38 は「Geirrod」と命名されました。この名前は、北欧神話に登場するトール神に倒された巨人、ゲイルロッド（ゲイルロズ）に由来しています。

ゲイルロッドの特徴

ゲイルロッドは、推定直径が約4kmという小さな衛星です。軌道傾斜角は177°であり、土星の公転方向とは逆向きに回る逆行軌道を持っています。この軌道の特徴から、ゲイルロッドは北欧群に分類されます。さらに、スカジ群という北欧群の副群に属すると考えられています。スカジ群は、土星の周りを逆行する不規則衛星のグループの一つです。

このような小さい衛星は、かつて存在した大きな母天体が、何らかの衝突によって破壊された際の破片である可能性が指摘されています。ゲイルロッドもその例外ではなく、過去の天体衝突によって形成された可能性が高いと考えられています。

ゲイルロッドは、その発見と命名の背景、そしてその軌道や特徴から、土星の衛星系の形成過程を理解する上で重要な役割を担う天体と言えるでしょう。

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