Sagittarius Window Eclipsing Extrasolar Planet Search

SWEEPS（いて座ウィンドウにおける食を起こす太陽系外惑星の探査）

SWEEPS（Sagittarius Window Eclipsing Extrasolar Planet Search）は、2006年に実施された、太陽系外惑星の探査を目的とした天文サーベイです。このプロジェクトでは、ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された掃天観測用高性能カメラ（ACS）を使用し、食検出法という手法を用いて、遠く離れた恒星の周囲を回る惑星を探しました。

観測対象

SWEEPSの観測対象は、地球から約2万7000光年離れた、天の川銀河の中心部にある銀河バルジです。具体的には、「いて座Iウィンドウ」と呼ばれる、いて座の一角が観測されました。この領域は、銀河円盤内の星間物質が比較的少なく、銀河バルジに属する多数の星を同時に観測するのに最適な場所でした。星間物質は、観測対象からの光を遮り、観測を困難にするため、この領域の選択は非常に重要でした。

観測方法

SWEEPSでは、ハッブル宇宙望遠鏡を用いて、18万個もの恒星を7日間連続で監視しました。食検出法とは、惑星が恒星の前を通過（食）する際に、恒星の明るさが一時的に暗くなる現象を利用して惑星を検出する方法です。この方法を用いることで、惑星が直接見えなくても、その存在を間接的に知ることができます。SWEEPSでは、多くの恒星を同時に観測することで、より多くの惑星を発見する可能性を高めました。

成果

SWEEPSの観測により、16個の太陽系外惑星の候補天体が発見されました。これは、太陽系の近傍における惑星の発見頻度と同程度であり、宇宙には非常に多くの惑星が存在することを示唆しています。特に興味深いのは、発見された惑星の公転周期が0.6日から4.2日の間に分布していたことです。その中には、公転周期が1.2日を下回る惑星も含まれており、これは当時としては初めての発見でした。SWEEPSのチームは、これらの非常に短い公転周期を持つ惑星を「極超短周期惑星（USPP）」と名付けました。

極超短周期惑星（USPP）

USPPの発見は、惑星形成と進化に関する新たな疑問を提起しました。特に、USPPが低質量の恒星の周りでのみ発見されたことは、大質量の恒星ではUSPPが破壊されてしまうか、何らかのメカニズムによってそのような軌道への移動が妨げられている可能性を示唆しています。これは、恒星の質量が惑星の形成や軌道進化に大きな影響を与えることを示しています。この発見は、惑星形成のメカニズムを理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

惑星の質量の確認

発見された惑星候補のうち、SWEEPS-4とSWEEPS-11は、主星の明るさが十分に大きかったため、視線速度法による観測が可能でした。視線速度法とは、惑星の重力によって恒星がわずかに揺れる現象を利用して、惑星の質量を測定する方法です。その結果、SWEEPS-4とSWEEPS-11は、実際に惑星と呼べる質量を持っていることが確認されました。これにより、SWEEPSが検出した天体が単なる疑似信号ではなく、実際に惑星であることが証明されました。

惑星と恒星のリスト

以下に、SWEEPSによって発見された太陽系外惑星と、それらが属する恒星のリストを示します。

SWEEPSによって発見された太陽系外惑星
SWEEPSによって周囲に系外惑星が発見された恒星

これらのリストは、Extrasolar Planets EncyclopaediaやSIMBADのデータに基づいており、詳細な情報が提供されています。

参考文献

SWEEPSの成果は、多くの科学論文や記事で発表されており、その詳細な内容についてはこれらの文献を参照することができます。