Sculpture of Time

La'cryma Christi『Sculpture of Time』

アルバム概要

『Sculpture of Time』（スカルプチャー・オブ・タイム）は、ヴィジュアル系バンド、La'cryma Christiがメジャー・フィールドに進出して最初に発表したスタジオ・アルバムです。1997年、メジャー・デビューの契機となったポリドール・レコードよりリリースされました。バンドが満を持して放ったこの作品には、先行して世に送り出された3枚のシングル曲を含む、全10曲が収録されています。オリコン週間チャートにおいては最高位8位を記録し、バンドの知名度を飛躍的に高める一助となりました。

収録曲解説

このアルバムには、バンドの多様な音楽性が詰め込まれています。特に以下に挙げる楽曲には、それぞれ際立った特徴が見られます。

Ivory trees

バンドにとってメジャー・デビュー後最初のシングルとして発表された、記念すべき楽曲です。アルバムの幕開けを飾る重要な位置を占めています。

偏西風

「Ivory trees」のカップリング曲として発表された楽曲ですが、本アルバムにはシングル盤とは異なるバージョンで収録されています。それぞれのバージョンを聴き比べることで、楽曲のアレンジメントにおける違いを楽しむことができるでしょう。

THE SCENT

バンドのセカンド・シングルとしてリリースされたナンバーです。勢いのあるロック・サウンドが印象的で、当時のバンドの持つエネルギーを感じさせます。

南国

アルバムからのサード・シングルとして発表された楽曲です。明るくキャッチーなメロディーが特徴で、多くのリスナーに親しまれました。

Sanskrit Shower

この楽曲はシングルとしてはリリースされていませんが、ベースのSHUSE氏を主人公にしたユニークなミュージック・ビデオが制作されたことでも知られています。音源だけでなく、映像作品としても記憶に残る一曲です。

Angolmois

本作の中でも特筆すべき楽曲の一つと言えるのが「Angolmois」です。この曲は、一般的にバラードなどに用いられることの多いBPM70という遅いテンポ設定でありながら、重厚かつダイナミックなロック・サウンドを構築している点が大きな特徴です。La'cryma Christiの音楽的な実験精神や探求心が色濃く表れたナンバーと言えるでしょう。

Letters

歌詞の世界観に特徴がある楽曲です。社会的なタブーともされがちな「不倫」をテーマに、禁断の愛の葛藤や情景が生々しく描かれており、聴き手に強いインパクトを与えます。

Blueberry Rain

アルバムの最後に配置された楽曲です。この曲の歌詞の結びには「ナイトフライトに行こうよ」というフレーズが登場し、これがアルバムの一曲目「Ivory trees」へと繋がるような構成上の仕掛けが施されています。これにより、アルバム全体を繰り返し聴きたくなるような、独特の循環構造を生み出しています。

上記で触れた楽曲以外にも、アルバムにはLa'cryma Christiの当時の音楽性が反映された様々な楽曲が収められており、全10曲を通してバンドの表現の幅広さを堪能することができます。

アルバムの位置づけ

『Sculpture of Time』は、La'cryma Christiがメジャーシーンで確固たる地位を築くための礎となった作品であり、バンドのキャリアにおいて非常に重要なマイルストーンです。先行シングル曲の成功と相まって、彼らの持つ高い演奏力と作曲能力、そして独特の世界観が多くのリスナーに届けられました。まさにバンドの勢いが形となった、初期の代表作として今日でも語り継がれています。時間（Time）を彫刻（Sculpture）するかのように丁寧に創り上げられた本作は、La'cryma Christiの音楽の魅力が凝縮された傑作と言えるでしょう。

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