Sd Kfz 11

Sd.Kfz.11 - ドイツの3トンハーフトラック

Sd.Kfz.11（Sonderkraftfahrzeug 11）は、第二次世界大戦中にドイツ国防軍および武装親衛隊で広く使用された3トンハーフトラックです。この車両は、その多様な使用目的に対応するために設計され、牽引車両や弾薬輸送などの役割を果たしました。

開発の背景

Sd.Kfz.11の開発は1934年に始まりました。当初、ブレーメンに拠点を置くハンザ・ロイド＆ゴリアテ社で3トンハーフトラックの設計が進められました。試作の第一号機としてHL kl 2が登場し、3500エンジン（70馬力）を搭載しました。

1935年にはHL kl 3(H)が開発され、エンジンとラジエーターを車両の後方に配置し、3.7cmの対戦車砲を搭載可能な車体設計が行われました。しかし、このモデルは騎兵部隊による試験的な使用にとどまり、一般的な生産には至りませんでした。

試作から量産へ

同年内にHL kl 3の改良型としてHL kl 3が試作され、ZF社製の変速機を搭載し、より生産型に近い仕様が整えられました。1936年にはHL kl 4(H)が開発され、100馬力のボルクヴァルト社製エンジンにアップグレード、転輪が片側6輪になり、走行性能が大幅に改善されました。この成果を受けて、HL kl 5型が完成し、505輌が製造されることとなります。

1937年には正式な量産型であるHL kl 6が登場しました。このモデルでは、運転席に加えて2名の乗員と後方キャビンに6名を収容することができ、機動性向上のために100馬力のマイバッハ製エンジンが搭載されました。このhl kl 6型はSd.Kfz.11として制式化され、1938年から本格的な生産が始まりました。

生産は主にボルクヴァルト社、ハノマーグ社、アドラー社が手掛け、最終的に合計12,000輌以上が製造されました。後期モデルでは構造がSd.Kfz.251に類似し、エンジングリルのデザインが直線的になり、木製のキャビンや貨物スペースを持つ簡易タイプも生産されました。

バリエーション

Sd.Kfz.11にはいくつかのバリエーションが存在し、特定の用途に応じて改良されています。例えば、

• - Sd.Kfz.11 (HL kl 6): 基本型であり、キャビンや荷台を備えた標準タイプ。
• - Sd.Kfz.11/1 (HL kl 6n): ネーベルヴェルファーを牽引するために設計されたバージョンで、弾薬の運搬に特化しています。
• - Sd.Kfz.11/2 (HL kl 6s): 対化学戦用洗浄液散布車で、後方に噴霧器を装備していますが、実戦では未使用でした。
• - Sd.Kfz.11/3 (HL kl 6k): 中和剤を散布する自動噴霧器を備えたモデルで、生産数は不明ですが、一定数が製造されました。
• - Sd.Kfz.11/4 (HL kl 6N): 10 cm砲を運搬するために設計されたモデルで、キャビンの形状が改良されています。
• - Sd.Kfz.11/5: ロケット発射器の弾薬を運搬するために対応したバージョンです。

これらのバリエーションは、さまざまな戦場のニーズに応えるために設計され、Sd.Kfz.11はその高い汎用性により、戦争の多くの場面で活躍しました。

もう一度検索