Sentinel-1

Sentinel-1: 地球観測衛星

Sentinel-1は、欧州連合（EU）とヨーロッパ宇宙機関（ESA）のコペルニクス計画によって開発された地球観測衛星システムです。この計画は、環境監視と安全確保を目的としており、Sentinelシリーズの最初の衛星ミッションとして位置づけられています。Sentinel-1Aは2014年に、続いてSentinel-1Bが2016年に打ち上げられ、現在は2基の衛星によって構成されています。

コペルニクス計画の意義

コペルニクス計画は、地球全体のリモートセンシングを促進するための取り組みであり、旧称は「Global Monitoring for Environment and Security（GMES）」です。このプログラムの主要な一環として、Sentinelシリーズはそれぞれ異なる観測機器を搭載し、地球の様々なデータを収集します。Sentinel-1の主な役割は、合成開口レーダー（SAR）を使用して地表と海洋の情報を24時間体制で提供することです。

ESAは、過去に打ち上げたリモートセンシング衛星（ERS-1、ERS-2、Envisatなど）からのデータを活用し、Sentinel-1はCバンドSARの観測の役割を引き継いでいます。これにより、気候変動や資源利用、環境保全、災害対策などの研究に役立てられるデータを提供します。また、EUは、Sentinelの観測データを無償で提供することにより、新たな産業の育成と2030年までの5万人の雇用創出を目指しています。

Sentinel-1の開発と構造

Sentinel-1Aの開発は、2007年にタレス・アレーニア・スペースイタリアが主製造業者としてESAと契約を結ぶことから始まりました。衛星は重量が2.3トンで、打ち上げ後に12.3メートルのアンテナアレイを展開します。設計寿命は7年ですが、スラスタ燃料は12年分を搭載しており、長期間の運用が可能です。

Sentinel-1Aと1Bは、同一の軌道に180度の位相差をもって周回しており、これによって観測頻度が向上しています。これらの衛星は、Xバンドの送信機（速度520Mビット/s）を搭載し、スヴァールバルやアラスカなど複数の地上局に観測データを送信します。1日で得られる観測データの量は1TBを超える見込みで、この作業には光通信も活用されています。具体的には、ドイツのTesat Spacecom社が製造した光通信ターミナルを通じて、静止軌道の欧州データ中継衛星（EDRS）へデータを送信し、そこから約50%のデータをダウンリンクする予定です。

フライトオペレーションはドイツ・ダルムシュタットにある欧州宇宙運用センター（ESOC）が担当し、観測データの運用管理はイタリアのフラスカーティに位置する欧州宇宙研究所（ESRIN）が行います。

搭載機器

Sentinel-1には、Cバンド合成開口レーダー（C-SAR）が搭載されています。このレーダーはアクティブフェーズドアレイアンテナを持ち、中心周波数は5.405GHzで、二重偏波での観測が可能です。また、4種類の観測モードを持ち、最も高解像度であるStrip Mapモードでは解像度5m、観測幅80kmを実現します。広範囲を対象としたExtra-wide Swathモードでは解像度20m×40mで観測幅400kmに達します。レーダーの開発は、EADSアストリアム社のドイツおよびイギリスの拠点によって分担されています。

まとめ

Sentinel-1は、地球観測技術の最前線に位置し、環境モニタリングや災害対応など幅広い分野でそのデータが利用されています。これにより、持続可能な社会の構築に寄与する重要なツールとなっています。

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