欧州宇宙運用センター

欧州宇宙運用センター（European Space Operations Centre, ESOC）は、欧州宇宙機関（ESA）に属し、その衛星や宇宙探査機の運用を専門とする機関です。ドイツのダルムシュタットに拠点を置き、ESAの宇宙計画における多くのミッションコントロールを担っています。1967年の設立以来、60を超える欧州の宇宙プロジェクトを成功に導いてきました。

ESOCは、衛星の運用だけでなく、地上局とアンテナからなるESTRACKネットワークの遠隔運用を行う地上施設コントロールセンター（GFCC）も併設しています。これにより、宇宙機との通信を確実に行い、ミッションの遂行を支えています。

現在、ESOCが運用している主なミッションには、XMM-Newton、クラスター2、Envisat、インテグラル、マーズ・エクスプレス、ロゼッタ、ビーナス・エクスプレス、GOCE、ハーシェル宇宙望遠鏡、プランク、CryoSatなどがあります。過去には、スマート1、カッシーニ、ERS-2といったミッションも運用していました。また、LISA パスファインダー、ADM-Aeolus、SWARM、センチネル、ガイア計画など、将来のミッションに向けた準備も進められています。さらに、MetOp-Aのように、打ち上げ初期の運用（LEOP）のみを担当し、その後は欧州気象衛星開発機構に引き継がれるミッションもあります。

ESOCは、SCOS 2000というソフトウェア基盤を開発し、さまざまなミッションの監視・制御に対応しています。この技術基盤は、現在だけでなく将来の宇宙計画を支援するために不可欠なものです。

宇宙科学データの処理

宇宙科学データの処理には、宇宙機からの信号を受信する追跡・通信用地上局ネットワークと、その情報を受信・処理する中央施設の2つが必要です。ESOCが運用する地上局ネットワークは、ベルギーのルデュ、アラスカのフェアバンクス、ノルウェーのスヴァールバル諸島、イギリス領フォークランド諸島の4箇所に設置されています。これらの地上局で受信されたデータは、ダルムシュタットにあるESOCの中央施設で集約され、編集・処理されます。

歴史

ESOCの前身はESDAC（European Space Data Acquisition Centre）と呼ばれていました。ESDACは、大規模なメインフレームコンピュータやコンピュータ群を備え、回収されたデータを分析・研究するための施設でした。研究者や科学者が利用できるようになっており、データに基づく分析と研究に貢献しました。ESDACは後にESOCに改名され、1966年のBannier Reportを受けて、宇宙機運用全体を統括する権限を持つようになりました。また、ESOCの管理者は、ESRANGEやESTRACKの運用にも責任を持つようになりました。

ESOCは、欧州の宇宙開発において、不可欠な役割を果たしています。その高度な技術力と豊富な経験により、数々の宇宙ミッションを成功に導いてきました。今後も、新たな宇宙ミッションに挑戦し、人類の宇宙への理解を深めることに貢献していくでしょう。

関連画像

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関連項目

スヴァールバル衛星局

外部リンク

ESOC Website
* ESA Spacecraft Operations website

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