Sleipnir

Sleipnir：日本のウェブブラウザ史に名を刻む多機能ブラウザ

Sleipnir（スレイプニル）は、柏木泰幸氏を筆頭とする開発チームによって生み出され、フェンリル社が開発を続ける、日本を代表するウェブブラウザです。愛称は「プニル」。Internet Explorerのコンポーネントを活用したタブブラウザとして誕生し、Lunascapeなどと共に、国内におけるタブブラウザ普及を牽引しました。

開発の歴史：個人開発から企業開発へ

当初は柏木氏による個人開発でしたが、2004年のソースコード盗難事件を機に、2005年にフェンリル社が設立。Sleipnirの開発は企業規模へと発展しました。Windows版からスタートしたSleipnirは、その後、Mac、Android、iOS、Windows Phone、そしてAndroid TVへと対応プラットフォームを拡大。現在も進化を続けています。

主要バージョンと特徴：Sleipnirの進化

Sleipnirは、バージョンを重ねるごとに機能を強化、UIを改善。主なバージョンと特徴を以下に示します。

Sleipnir 1.xx: Windows向けの個人開発版。タブブラウザの先駆けとして認知されましたが、ソースコード紛失により開発は中断。
Sleipnir 2 for Windows: フェンリル社による最初のリリース。プラグイン機能の追加など、機能拡張がなされました。カスタマイズ性と上級者向けの機能を重視した設計となっています。
Sleipnir 3 for Windows: Sleipnir 2の後継。Fenrir Passによるブックマーク同期やWebKitレンダリングエンジンの導入など、他プラットフォームとの連携強化が図られました。UIの大幅改善やGeckoエンジンサポート終了も大きな特徴です。
Sleipnir 4 for Windows: カスタマイズ性を重視した設計を引き継ぎつつ、Blinkエンジンへの移行により高速化を実現しました。
Sleipnir 5 for Windows: ブラウザをゼロから設計し直したバージョン。サムネイルタブや高度な検索機能などを備え、シンプルながらも先進的なインターフェースを実現。
Sleipnir 6 for Windows: さらなる操作性向上と「お気にタブ」機能追加など、使いやすさを追求したバージョン。
Sleipnir for Mac: macOS向けSleipnir。
Sleipnir Mobile: Android、iOS、Windows Phoneに対応したモバイル版。プラットフォームによっては有料版も提供。
Sleipnir TV: Android TV向けのバージョン。

主要機能：多様なニーズに対応

Sleipnirは、タブブラウザ機能を基本に、多くの特徴的な機能を備えています。

タブブラウザ機能: 複数のWebページをタブで管理。
Fenrir Pass: フェンリル社のサービス間でのデータ同期などを実現するアカウントサービス。
ブラウザエンジンの選択: Trident、Gecko、WebKit、Blinkなど、複数のレンダリングエンジンから選択可能（バージョンによって異なる）。
高度なカスタマイズ性: プラグイン、スキン、メニューのカスタマイズなど、ユーザー自身の好みに合わせた調整が可能。
様々な機能: お気に入り機能、RSSリーダー、マウスジェスチャー、SmartSearch、セキュリティ設定など、豊富な機能を備えています。

開発とユーザーとの連携：2ちゃんねるを通じたコミュニケーション

Sleipnirの開発は、2ちゃんねるでのユーザーとの活発なコミュニケーションを通じて行われてきました。ベータ版やRC版の公開、フィードバックの収集など、ユーザー参加型の開発体制が特徴です。

国内シェアと国際展開

2009年頃には、日本国内で3%～10%程度の市場シェアを獲得。Browser Choice更新プログラムへの掲載など、国際的な認知度も向上しています。

まとめ

Sleipnirは、長年にわたる開発とユーザーとの交流を通して進化を遂げてきた、日本発祥の個性豊かなウェブブラウザです。高いカスタマイズ性、多様なプラットフォーム対応、そしてユーザー参加型の開発スタイルは、Sleipnirの大きな魅力となっています。

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