SnIpe

KOTOKOの音楽活動において、2009年6月24日は特別な一日として記録される。この日、彼女はジェネオン・ユニバーサル・エンタテインメントジャパンより、シングル「snIpe（スナイプ）」をリリースした。注目すべきは、同日にもう一枚のシングル「蒼-iconoclast／PIGEON-the green-ey'd monster」も同時に発表された点である。

概要

本作「snIpe」は、一般的な音楽CDシングルに見られる初回限定盤と通常盤という区分を設けておらず、CDとDVDがセットになった形態のみで店頭に並んだ。これは、この楽曲が元々、サウンドクリエイター集団I'veが設立10周年を迎えたことを記念して制作・販売された特別なボックスセット、「I've Sound 10th Anniversary 「Departed to the future」Special CD BOX」の中に収められていた楽曲を、改めて単独のシングルとして独立させた「シングルカット」という形式が取られているためである。I'veの歴史を彩る楽曲群が集められた記念ボックスの中からこの曲がシングル化されたことは、「snIpe」という楽曲自体が持つポテンシャルを示すものと言えるだろう。

収録曲

このシングルには、表題曲の他、カップリング曲とインストゥルメンタルバージョンが収録されている。CDに収められたトラックリストは以下の通りである。

1. snIpe
時間: 5分5秒
作詞: KOTOKO
作曲・編曲: 井内舞子
2. Close to me…-I'VE in BUDOKAN 2009 Live Ver.-
時間: 3分42秒
作詞: KOTOKO
作曲・編曲: 高瀬一矢
3. snIpe（Instrumental）

カップリングとして収録されている「Close to me…」は、2009年1月2日に日本武道館で開催されたライブイベント「I'VE in BUDOKAN 2009 〜Departed to the future〜」でのパフォーマンスを収録したライブバージョンである。この楽曲は、KOTOKOがI'veのボーカリストとして初めて参加し、世に送り出された記念すべきデビュー楽曲である。彼女のキャリアの原点とも言える曲が、10周年という節目に行われた武道館ライブでの音源として収められていることは、その歴史を振り返る上で意義深い選曲と言える。

特徴

「snIpe」のもう一つの重要な特徴として、KOTOKOがこれまでに発表してきたシングル作品の中で、初めて特定の外部メディアとのタイアップが付かない、純粋なノンタイアップシングルとしてリリースされた点が挙げられる。これまでの彼女のシングルは、多くがタイアップ作品と連動しており、それが彼女の活動を特徴づける側面もあった。しかし本作では、そうした枠から離れ、楽曲単体で勝負するという姿勢が見られる。これはアーティストKOTOKOの新たな試みの一つであったとも解釈できるだろう。

このように、「snIpe」は同日リリースの別シングル、特殊な販売形態、I've 10周年記念ボックスからのシングルカット、そして初のノンタイアップという、複数の点で特異な位置を占める一枚と言えるだろう。それは、彼女の音楽活動における一つの挑戦を示唆する作品として、ファンの間で記憶されている。

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