Summit (スーパーコンピュータ)

スーパーコンピュータ「Summit」とは

2018年6月8日に発表された「Summit」は、アメリカ合衆国エネルギー省（DOE）が運営するオークリッジ国立研究所（ORNL）で開発されたスーパーコンピュータです。このシステムは、IBMがNVIDIAおよびMellanox Technologiesと共同で設計しており、特にその驚異的な演算能力から、スパコンランキングTOP500において2018年6月から2019年11月の間、世界一に輝きました。

具体的な性能と設計

Summitは、時速200ペタフロップスという計算速度を持ち、これは毎秒20京回の計算を行う能力を意味します。主にPower System AC922を基盤として構築されており、4608台のノードで成り立っています。各ノードは500GB以上の高帯域メモリ（コヒーレンスメモリ）を搭載し、不揮発性のRAMとして800GBを追加的に持つことで、膨大なデータを効率的に処理可能です。

また、Summitのアーキテクチャは、CPUとGPUを組み合わせたヘテロジニアス型で、NVIDIAのVolta GPUがPower9 CPUとNVLinkを介して連携します。これにより、ノード間のデータ転送速度が格段に向上しています。ノード間接続にはMellanox EDR InfiniBandインターコネクトが用いられ、高速かつ高スループットの通信が実現されています。

CORALプロジェクト

Summitは、2014年に始まったCORAL（Collaboration of Oak Ridge, Argonne, and Livermore）プロジェクトの一環として開発されました。このプロジェクトは、アルゴンヌ国立研究所（ANL）、オークリッジ国立研究所（ORNL）、ローレンス・リバモア国立研究所（LLNL）の3つの研究機関が次世代のスーパーコンピュータを導入することを目的としています。

具体的には、次のような移行が行われました：

• - オークリッジ国立研究所（ORNL）はタイタンからSummit（200 PFLOPS）へ移行
• - ローレンス・リバモア国立研究所（LLNL）はセコイアからSierra（125 PFLOPS）へ移行
• - アルゴンヌ国立研究所（ANL）はMiraからAurora（2021年予定、1,000 PFLOPS予定）へ移行予定

世界的な影響

Summitは、その発表当初から2018年6月25日のTOP500ランキングにおいて122.3PFLOPSで世界一を獲得しました。この成果は、5年ぶりに世界最速の座を中国のスーパーコンピュータ（天河二号、神威・太湖之光）から奪還するものでした。しかし、2020年6月には富士通の「富岳」が415.53PFLOPSを記録し、首位を奪取しています。

関連項目と情報源

Summitに関連する技術的情報や運用に関しては、IBMの公式ウェブサイトや、さまざまなテクノロジーメディアにおける報道があります。特に、IBM Power Systemsが構築した「Summit」に関する詳細な情報を調査することが可能です。このスパコンは今後の高性能コンピューティングの標準となることが期待されています。

このように、Summitは世界最速のスーパーコンピュータとして数々の技術革新を実現しており、今後の科学研究や技術開発に大きな影響を与えるでしょう。

もう一度検索