Swish (電子決済)

Swish（スウィッシュ）とは

Swishは、スウェーデンで広く利用されている非接触型決済システムです。2012年にサービスが開始され、瞬く間に国民の生活に浸透しました。2017年の時点では、スウェーデン国民の半数以上がSwishを利用しており、特に30歳未満の若年層では約90%が利用しているというデータもあります。この数字からも、Swishがスウェーデン社会において不可欠なインフラとなっていることがうかがえます。ただし、店舗での決済利用は、他の決済手段と比較して、それほど普及しているとは言えない状況です。

仕組み

Swishは、スウェーデンの主要銀行11行が共同で開発したスマートフォンアプリです。このアプリは、利用者の携帯電話番号とBank IDと呼ばれる個人識別番号を紐づけることで機能します。Bank IDは、スウェーデン国民に出生時に割り振られる個人識別番号、氏名、電子証明書を統合したもので、個人の身分証明書として法的な拘束力を持つ重要なものです。

Swishを利用すると、相手の電話番号を指定するだけで、自身の銀行口座から相手の口座へ直接送金できます。また、自身のスマートフォンの画面に表示されるQRコードを相手に読み取らせることで、送金することも可能です。これにより、個人間の送金が非常にスムーズに行えるようになりました。例えば、路上で雑誌を売っているホームレスでさえ、Swishによる支払いを受け付けているという事例もあり、その浸透度合いが伺えます。

Swishに関連する事件

Swishは非常に便利なシステムですが、いくつかの事件も発生しています。

キャッシュレス音楽フェスティバルのシステム障害: 2014年夏に開催されたスウェーデン初のキャッシュレス野外音楽フェスティバルでは、電子決済システムが初日にクラッシュし、会場での飲食物の購入ができなくなるというトラブルが発生しました。この事件は、電子決済システムへの過度な依存のリスクを示す事例となりました。

個人情報へのアクセスバグ: 2014年には、Swishのシステムに、すべてのユーザーの取引記録にアクセスできてしまうというバグが発見されました。この問題は直ちに修正されましたが、ユーザーのプライバシー保護の重要性を再認識させる出来事となりました。

強盗事件とSwish: 2015年7月には、ゴットランド島で「強盗からSwishを使って金を払うよう強要された」という訴えが警察に届けられました。容疑者は決済履歴からすぐに特定されましたが、「ビールの支払いのための合意に基づくもの」と主張し、証拠不十分で釈放されています。この事件は、Swishが犯罪に悪用される可能性を示唆しました。

現金拒否事件: スウェーデンを旅行で訪れたロシア人が、バスの乗車賃を現金で支払おうとしたところ、バスの運転手に拒否されるという出来事がありました。ストックホルム県では、公共交通機関の利用には専用のICカード「SLカード」またはスマートフォンアプリ「SL-biljetter」による決済が必要であり、現金は受け付けていません。この事例は、スウェーデンにおけるキャッシュレス化の進展を象徴する出来事と言えるでしょう。

Swishを取り巻く環境

Swishの普及は、スウェーデンにおけるキャッシュレス化を大きく加速させました。スウェーデンは、ヨーロッパの中でも特にキャッシュレス化が進んでいる国の一つであり、政府もキャッシュレス社会を推進しています。Swishは、その重要な役割を担っています。

しかし、システム障害やセキュリティの問題、犯罪への悪用などの課題も存在します。今後、これらの課題をどのように克服していくかが、Swishのさらなる発展にとって重要な鍵となるでしょう。

関連項目

クローネ
デンマーク・クローネ
スウェーデン・クローナ
スウェーデン・クローナ#スウェーデンのキャッシュレス化
電子マネー
電子決済
* clearXchange - アメリカ合衆国版Swishとも呼ばれる決済システム

出典・脚注

公式ウェブサイト

もう一度検索