T-5 (練習機)

T-5練習機について

概要

T-5は、海上自衛隊において初等航空訓練に使用される練習機であり、KM-2の後継機として設計されました。この機体は富士重工業（現SUBARU）によって製造され、固定翼機やヘリコプターのパイロット、さらには戦術航空士の全ての訓練生に向いています。

導入の背景

T-5の開発は、KM-2の老朽化と技術の陳腐化に応える形で始まりました。KM-2の後継機として、ターボプロップエンジンを搭載したKM-2D（JA8222）が独自に開発され、1984年に初飛行。これに基づき、1985年からT-5としての調達が開始されました。初号機は1987年に初飛行を果たし、海上自衛隊への納入は同年の8月に行われました。その後、1999年までに合計36機が納入され、1989年には第201教育航空隊に配備されました。2006年には老朽化に伴って再調達が行われ、以降も追加の機体が導入されています。

機体の特徴

機体はエンジンとプロペラを前方に配置し、低翼配置の直線翼を持っています。座席は2列に並んで最大4名が搭乗可能で、操縦桿も特異なデザインが採用されています。海上自衛隊は大型哨戒機とヘリコプターを主力としているため、この配置が選ばれました。また、衝突防止灯は義務付けられていないものの、訓練の性質上白色のフラッシュライトが装備されています。

エンジンと性能

T-5にはロールス・ロイス製のターボプロップエンジン250-B17Dが搭載されています。このエンジンは初等訓練機としてはパワーが強すぎるため、運用時には出力が制限される工夫がされています。主翼の形状や尾翼のデザインは、視界を重視して改良された結果、見た目にも大きな変化が生じています。特に、5分割の大型バブルキャノピーは独特で、視界の良さに寄与しています。

訓練とシミュレーター

T-5はフライトシミュレーターが導入されており、小月航空基地で体験搭乗の機会が提供されています。教官はこの機体を用いて様々な訓練を行い、特に編隊飛行のスキルを養成しています。

事故と安全対策

過去にはいくつかの事故も報告されています。例えば、1996年には胴体着陸を行い大きなトラブルには至りませんでしたが、2001年には墜落事故が発生し、残念ながら教官と練習生が亡くなるという事態もありました。これらの事故を受けて、安全対策が日々強化されています。

現在の動向

2024年度には、T-5の30機を再々調達し、初等練習機の更新が計画されています。また、航空自衛隊では新たにT-6 テキサンIIを導入することが決定しており、今後T-5の役割も変わる可能性があります。

まとめ

T-5は海上自衛隊の初等訓練において重要な役割を果たしており、その設計はパイロットの技能向上に寄与しています。安全な訓練環境を確保するための取り組みが続く中で、今後もこの機体は日本の航空防衛に貢献するでしょう。

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