T-7 (練習機)

T-7初級練習機

T-7は、航空自衛隊が使用する初級練習機であり、老朽化したT-3の後継機として富士重工業によって製造されました。この機体は、パイロット養成を目的として開発されたもので、1990年代にT-3の改良版として企画が始まりました。

開発の経緯

1998年にT-3の後継機として「新初等練習機」が選ばれました。しかし、同年末には防衛庁の汚職事件が発覚し、予算が凍結されることとなります。この影響を受け、富士重工は独自に試作機を開発し、KM-2Fが誕生しました。このモデルは、海上自衛隊向けの練習機から改造されたもので、1999年に初飛行を果たしました。

その後、国際競争入札が行われ、スイスのピラタス社も入札に参加しましたが、最終的に富士重工が選ばれました。この決定を巡っては、防衛庁が十分な説明をしなかったために、ピラタスが不当採用として告訴すると主張しました。防衛庁は再説明を行い、問題は解決へと向かいました。

量産型のT-7は2002年に初飛行し、2003年には正式に制式採用されました。以降、防府北基地の第12飛行教育団や静浜基地の第11飛行教育団に配備され、2006年度末には旧式のT-3を完全に補完しました。最終的には、2008年度に49機が納入され、配備が完了しています。

構造と性能

T-7の開発に際しては、コスト削減が重要視され、T-3との部品の共通化が進められました。その結果、納入価格は約2億3000万円となり、外国製機と同水準に抑えられました。機体の形状はT-3とほぼ同じですが、具体的な性能向上のために翼形状や尾翼に改良が施されています。

最大の変更点はエンジンの変更です。T-3はレシプロエンジンでしたが、T-7では海上自衛隊のT-5に搭載されたターボプロップエンジン、ロールス・ロイス250-B17F型に換装されました。これにより、性能や運用効率が大きく向上し、乗員の快適性も改善されています。特にコックピットには冷暖房が施されるなど、環境への配慮もなされています。

配備状況

T-7は、複数の基地に配備されています。主な配備先は以下の通りです：

• - 静浜基地 - 第11飛行教育団
• - 防府北基地 - 第12飛行教育団
• - 岐阜基地 - 飛行開発実験団
• - 浜松基地 - 第1術科学校

これらの基地では、T-7の実機に加えて、隊員によるクラブ活動や整備員の教材としても活用されています。

主要諸元

• - 乗員: 2名
• - 全長: 8.59m
• - 全幅: 10.04m
• - 全高: 2.96m
• - 最大離陸重量: 1,585kg
• - エンジン: ロールス・ロイス 250-B17F ターボプロップ　1基
• - 出力: 離陸時450馬力、連続最大出力380馬力
• - 最大巡航速度: 223kt（412km/h）
• - 上限限度: 25,000ft（7,620m）

今後の展望

航空自衛隊は2023年度までにT-7の後継機について検討を進める意向を示しています。T-7は今後も日本の航空自衛隊において重要な役割を果たすことでしょう。

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