T-7 (航空機・アメリカ)

ボーイング/サーブ T-7A レッドホーク：次世代高等練習機の全貌

アメリカ空軍の新たな高等練習機として、ボーイング社とサーブ社が共同開発したT-7Aレッドホークは、半世紀以上にわたって運用されてきたノースロップT-38タロンの後継機として2018年に選定されました。その選定は、機体性能に加え、フライトシミュレータなどの充実した地上訓練システムの完成度も高く評価された結果によるものです。351機の導入と46台のフライトシミュレータを含む、総額92億ドルにのぼる大規模な調達計画となっています。

開発と採用

2016年に初飛行を果たしたT-7Aは、三次元モデリングや仮想現実技術を駆使したデジタル開発により、開発期間とコストの削減に成功しました。アメリカ空軍への納入は2023年9月に開始され、順次配備が進められています。将来的な海外輸出や、軽攻撃機への転用、さらにはアメリカ空軍の曲技飛行隊であるサンダーバーズの代替機としての可能性も期待されています。

機体設計：先進性と高い整備性

T-7Aは、単発ジェットエンジンを搭載した肩翼配置の機体構造を持ち、双垂直尾翼が特徴的です。主翼には、機動性を高めるためのストレーキやスラット、フラッペロンが装備され、水平尾翼は全遊動式です。操縦システムはフライ・バイ・ワイヤを採用し、操縦桿はボーイング製軍用機として初めてサイドスティック式が採用されています。

着陸装置は引き込み式三輪で、整備性を考慮した設計が随所に見られます。水平尾翼と垂直尾翼の安定板は左右同一形状で、交換も容易です。風防には、整備や交換が容易な横開きのキャノピーを採用しています。コックピットはグラスコックピット化されており、タッチパネルや多機能ディスプレイが搭載され、高度な情報処理能力を備えています。パイロットは、改良型の射出座席ACES5を使用します。

アビオニクスとエンジン：F-35への移行訓練を支援

T-7Aは、F-35への移行を想定した訓練に対応できる高度なアビオニクスを搭載しています。ヘッドアップディスプレイに加え、将来的な機器の交換や追加が可能な拡張性も備えています。

エンジンはゼネラル・エレクトリック社のF404-GE-103ターボファンエンジンを搭載。F/A-18E/Fで使用されているエンジンの改修版で、整備効率を向上させるため、エンジン着脱のための大きなアクセスパネルを機体下部に備えています。燃料タンクは安全性に優れた単一壁式を採用し、オプションで空中給油装置も装備可能です。

運用と訓練：地上訓練システムとの連携

T-7Aの地上訓練と支援は、ボーイングとサーブ社が共同で提供します。両社は、アメリカ空軍T-X計画のために2013年にパートナーシップ契約を締結しました。

2022年には初号機がロールアウトされ、2023年にはアメリカ空軍への納入が開始されました。初号機の垂直尾翼は、第99飛行訓練飛行隊の前身である第99追撃飛行隊のP-51Dに因んで赤く塗装されています。

主要諸元

※諸元はAir Force Magazineによる情報に基づきます。数値に若干の差異がある場合があります。

まとめ

T-7Aレッドホークは、先進的な技術と高い訓練効果を両立した次世代高等練習機です。アメリカ空軍のみならず、世界中の空軍力強化に貢献する可能性を秘めています。今後の運用状況と、更なる発展に注目が集まります。

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