TABOO (アルバム)

アルバム「TABOO」

BUCK-TICKの4枚目のオリジナル・アルバム『TABOO』は1989年1月18日にビクター音楽産業のInvitationレーベルからリリースされました。本作は前作『SEVENTH HEAVEN』からおよそ7か月後の作品であり、作詞陣には櫻井敦司、今井寿に加え、初めてヤガミトールの曲が収録されています。作曲の面でも今井と星野英彦の作品が並び、アルバム全体に新しい風が吹き込まれています。

制作背景

レコーディングはロンドンにて行われ、これはBUCK-TICKにとって初の海外録音となりました。また、本作ではオーウェン・ポールという外部プロデューサーが起用され、新しい音楽的試みが実現しました。制作は今井の「TABOO」という言葉から始まり、バウハウスやザ・キュアーなどのニュー・ウェイヴとゴシック・ロックの影響を受けつつ、バンドの音楽性に新しい次元をもたらしていきます。

先行シングル「JUST ONE MORE KISS」は、日本ビクターのコマーシャルソングとしても使用され、オリコンチャートでは初登場1位を獲得。この成功はBUCK-TICKにとって初めてのオリコン1位獲得であり、重要なマイルストーンとなりました。しかし、ツアー中に今井が麻薬取締法関連の事件に巻き込まれ、ツアーは中断されることになります。

音楽性とテーマ

アルバムの音楽的アプローチは、今井が提唱した「ダーク、ハード、スリリング、メロディ、不協和音」というイメージに基づいています。メジャーデビュー以降のアルバムがポップな印象だったことに対する反動から、よりマニアックでヘヴィな作品が作りたいという欲求が、音楽スタイルにも如実に反映されています。

収録曲には、堕胎をテーマにした「EMBRYO」や、切り裂きジャックを題材とした「J」など、タブーな内容が多く見られます。また、アルバムのタイトルトラック「TABOO」では、何がタブーとされるのかについての考察がなされています。亜流的な形式ではなく、さらに深いテーマ性を追求する姿勢が伺えます。

リリースとアートワーク

『TABOO』はLP、CD、カセットテープの3形態でリリースされた初期の作品です。アートワークはグラフィックデザイナーのサカグチケンが手掛け、従来の手法を駆使し、印刷技術を利用して独創的なデザインが完成しました。サカグチはメンバーと打ち解けておらず、作品に対する評価を直接得ることができなかったことを後に語っています。

メンバーの逮捕とその影響

アルバムを引っ提げたツアー中に、今井がLSD使用の件で逮捕されるという事件が発生しました。これによりツアーは中止となり、残りの公演がすべてキャンセルされる事態に。メンバーは活動自粛を余儀なくされる中、今井は執行猶予付きの判決を受けることになります。この事件は、BUCK-TICKの活動に大きな影を落としましたが、その後の彼らの音楽的進化にも影響を与えたと言えるでしょう。

批評と人気

音楽批評では、ロンドンでのレコーディングやオリコンチャート1位取得を背景に、BUCK-TICKのダークで妖艶なロマンチシズムが確立されたアルバムとして評価されています。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、音楽性の深化が強調され、音楽界における存在感が際立つ作品と位置づけられました。

『TABOO』はBUCK-TICKにとって、音楽的な転換点となった一作であり、彼らの未来の音楽スタイルに大きな影響を与え続けています。これからも彼らの新たな挑戦に注目が集まります。

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