TAC (コンピュータ)

TAC（東京自動計算機）について

TAC（Tokyo Automatic Computer）は、1959年に東京大学で開発された初の日本製コンピュータです。このコンピュータの開発は、多くの苦労と試行錯誤を経て達成されました。一般に、東京大学と東芝が共同で開発したとされていますが、実際には他の企業の協力もあり、特に日立製作所の貢献もありました。この記事では、TACの開発経緯や関係者について詳しく紹介します。

開発の背景と主要人物

TACの開発は、東京大学の教授や助教授たち、さらには東芝の技術者によって進められました。中心的な役割を果たしたのは、雨宮綾夫助教授で、彼を中心に多くの知識と経験を持つ専門家が集まりました。特に、山下英男教授は、早くから電子計算機の重要性を見抜き、パンチカードに代わるシステムの開発に着手していました。さらに、村田健郎氏は真空管式コンピュータの開発に携わり、その後のTAC開発にも深く関与しました。

開発経緯

TACの開発は1948年に始まりました。最初のプロトタイプは「東芝TAC」と呼ばれ、真空管による論理回路やブラウン管を用いたメモリの研究が進められました。1951年には、文部省による研究班が設置され、山下教授と雨宮助教授が中心となり、政府の支援を受けてさらに開発が進められました。さらに、その後の二代目TACの開発では、東京大学と東芝が協力し、さらに洗練されたシステムが模索されました。

TAC開発の苦悩

二代目TACの開発はさまざまな問題に直面しました。特に、ウィリアムス管の性能が期待したものに達せず、全体の調整が難航しました。この時期には、開発に関わったメンバー間での意見の相違や、マスコミによる批判もあったため、開発チームは多くのプレッシャーにさらされました。1957年にはコンピュータの開発が進展せず、地域メディアからの非難が入り、その結果、開発陣は動揺し続けました。

TACの完成と特長

多くの困難を乗り越えた結果、1959年1月21日、TACはついに動作に成功しました。このコンピュータは、真空管を7000本も使用し、高速な処理能力を誇りました。新しい技術として、ウィリアムス管を採用したことで、ランダムアクセス可能な主記憶を実現し、当時としては画期的な性能を持ちました。さらに、浮動小数点演算やインデックスレジスタの導入により、コンピュータの利用範囲が飛躍的に広がりました。

メンテナンスと後の展開

TACの運用は、初めの一年は村田氏と中澤氏が担当し、後に東京大学の試験所に移管されました。しかし、数年後には故障も多発し、1962年には稼働を終了しました。その後、東芝へのメンテナンス移譲が行われ、村田氏と中澤氏は日立製作所に入社し、新たなコンピュータの開発に携わりました。

結論

TACは、日本における初の真空管式コンピュータとして、歴史的な役割を果たしました。その開発には数多くの専門家が参加し、試行錯誤の結果、動作に成功したというのは、今後の日本のコンピュータ技術へとつながる重要なステップとなりました。これにより、日本のコンピュータ開発における土台が築かれ、後の技術革新へと道を開きました。

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