TAME航空120便墜落事故

TAME航空120便墜落事故の概要

2002年1月28日、エクアドルの首都キトのマリスカル・スクレ国際空港を飛び立ったTAME航空120便は、テニエンテ・コロネル・ルイス・ア・マンティージャ国際空港へ向かう途中、クンバル火山に墜落しました。この事故により、乗員乗客94名全員が死亡するという痛ましい結果となりました。

事故機の詳細

事故を起こした機体は、ボーイング727-134型機（機体記号: HC-BLF）で、製造番号19692として1967年に製造されました。初飛行後、トランスエア・スウェーデンに納入され、その後、エア・マデイラ、フィリピン航空を経て、1984年にTAME航空に譲渡されました。エンジンはプラット・アンド・ホイットニーJT8D-9Aを搭載し、総飛行時間は64,001時間、総飛行サイクルは49,819回でした。

乗務員の構成

120便には、経験豊富な3名の乗務員が搭乗していました。

機長: 59歳の男性で、TAME航空の飛行教官を務めるベテランパイロットでした。総飛行時間は12,091時間で、うち8,263時間がボーイング727での飛行時間でした。
副操縦士: 52歳の男性で、機長昇格訓練中でした。総飛行時間は7,058時間で、うち3,457時間がボーイング727での飛行時間でした。
航空機関士: 50歳の男性で、総飛行時間は4,200時間で、うち3,000時間がボーイング727での飛行時間でした。

事故当時、副操縦士が左席、機長が右席に座っていました。

事故の経緯

120便は、現地時間10時03分にマリスカル・スクレ国際空港の滑走路17から離陸しました。高度18,000フィートまで上昇した後、G-675航空路に沿って北北東に進路を取りました。キトから目的地トゥルカンまでの区間は短く、10時15分に120便がトゥルカンの管制と交信した時点で、既にトゥルカンのNDBから29マイル（約47キロメートル）の地点に到達していました。その後、120便は高度14,000フィートへの降下を許可され、気象情報が伝えられた後、着陸に向けたアプローチの許可を得ました。

テニエンテ・コロネル・ルイス・ア・マンティージャ国際空港の滑走路23へのNDB進入方式は、方位角085度で空港上空を通過後、1分半後に233度へ左旋回し、対気速度180ノット（時速約330キロメートル）で飛行しながら、最終的に高度11,500フィートまで降下するというものでした。この空港はアンデス山脈の高地に位置し、周辺には多くの山稜や峰がそびえ立っています。滑走路の標高は9,679フィート、そして事故現場となったクンバル火山は、空港の真西約20マイル（約32キロメートル）に位置し、標高は15,626フィートでした。

120便は空港の南西からアプローチを開始しましたが、NDBの真上ではなく、やや西側を通過しました。パイロットは旋回を開始する手順は正しかったものの、飛行速度が速すぎました。規定の180ノットではなく、230ノットで飛行していたため、機体は意図したコースから大きく逸脱してしまいました。その結果、120便が西に向きを変えた時には、滑走路ではなくクンバル火山の側面に向かっていました。

10時23分、120便はクンバル火山の中腹、標高14,700フィートの地点に墜落しました。事故当時、視界は非常に悪く、機体の残骸が発見されたのは事故からほぼ1日後でした。

事故調査

コロンビア民間航空局の事故調査委員会は、事故の原因を以下の通り断定しました。

パイロットがNDB進入時に速度超過で飛行したこと。
* その結果、機体がコースを逸脱し、山に衝突したこと。

この事故は、パイロットの速度超過が大きな要因となり、痛ましい結果を招いたことを示しています。

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