TDR-1 (航空機)

TDR-1：第二次世界大戦におけるアメリカ海軍の無人攻撃機

TDR-1は、第二次世界大戦下のアメリカ海軍のためにインターステート社が開発した無人航空機です。当時、攻撃用無人機と呼ばれ、爆弾や魚雷を搭載して敵艦艇攻撃を目的としていました。2000機の発注計画がありましたが、実際には約200機が生産されました。太平洋戦線で日本軍艦艇への攻撃に投入されましたが、技術的な問題や従来兵器の有効性から、1944年10月に開発は中止されました。

開発と設計

1936年、無人航空機の軍事利用可能性が提唱されました。初期の技術的制約から計画は低優先順位でしたが、1940年代初頭の電波高度計やテレビ技術の発達により実現性が高まりました。1942年4月には無人機による海上標的攻撃の試験が行われ、インターステート社が試作機2機と量産機100機の製造契約を獲得、TDR-1と命名されました。

TDR-1は、TBFアベンジャーなどの有人機からテレビ画面を通して遠隔操作されました。機体にはカメラと電波高度計が搭載されており、その映像がテレビ画面に表示されました。220馬力のライカミングO-435エンジンを2基搭載。鋼管フレームと木製外皮という簡素な設計で、戦略物資の使用量を最小限に抑えていました。試験段階では、操縦席を追加するオプションも検討されました。離陸後に投棄される固定式三輪着陸装置を採用していました。

運用

アメリカ海軍は「オプション作戦」として、TDR-1飛行中隊の創設を計画し、大量発注されましたが、開発の遅れや低優先順位から契約は縮小されました。アメリカ陸軍航空軍もXBQ-4として1機を試験的に運用しましたが、本格的な採用には至りませんでした。

1944年、TDR-1は特別航空専門部隊（SATFOR）の指揮下で南太平洋へ展開、日本軍に対する攻撃作戦に参加しました。TBMアベンジャーが操縦機として用いられ、9月27日に最初の作戦が実施されました。作戦は成功しましたが、技術的な問題や従来兵器の有効性から、TDR-1計画は中止されました。10月27日に行われた最後の作戦では、50機の無人機が投入され、31機が目標に命中しました。

戦後、一部のTDR-1は個人用スポーツ機として改造されました。

展示と派生型

現在、フロリダ州ペンサコーラの国立海軍航空博物館にTDR-1の残存機が展示されています。

派生型としては、エンジンの異なるXTDR-1、XTD2R-1、XTD3R-1、XTD3R-2、TD3R-1などがあります。また、アメリカ陸軍航空軍ではXBQ-4、XBQ-5、XBQ-6、BQ-6Aという呼称が用いられました。

主要諸元 (TDR-1)

乗員：0～1名
全長：10.97m
全幅：15.24m
全備重量：約2676kg
エンジン：ライカミングO-435 × 2基
出力：220馬力/基
最大速度：225km/h
航続距離：685km
兵装：爆弾1発または魚雷1本、最大搭載量約907kg

参考文献

飯山幸伸『異形機入門』光人社（光人社NF文庫）、2004年。ISBN 4-7698-2421-1

TDR-1は、初期の無人航空機開発における試行錯誤と技術的課題、そして戦争における無人機の可能性と限界を示す重要な事例といえます。

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