『THE BEST / 南沙織』 (1979年版)
アルバム概要
『THE BEST /
南沙織』は、歌手・
南沙織によって
1979年6月21日にCBSソニーから発売されたベストアルバムです。この作品は、
1978年に彼女が芸能活動から引退した翌年に発表されました。引退後も根強い人気を誇っていた
南沙織の代表曲を網羅した一枚として、当時のファンに届けられました。
特徴と収録内容
本作の大きな特徴の一つは、収録されている楽曲の選定基準にあります。
南沙織は
1971年のデビューから
1977年の引退まで、
NHK紅白歌合戦に7年連続で出場し、皆勤出演を果たしました。このアルバムには、その活動期間中に彼女が紅白歌合戦という国民的な舞台で披露した全ての歌唱曲が網羅されています。これは、彼女のキャリアにおけるテレビでの代表的なパフォーマンスを一覧できる点で、非常に価値のある編集と言えます。
また、本作のレコードジャケットに使用されている写真の別カットは、後年となる1986年5月21日に発売されたCDベストアルバム『
南沙織ベスト・コレクション』のジャケットにも転用されています。これは、同じ素材が時代を超えて使用されるほど、彼女のビジュアルイメージが確立されていたことを示唆しています。
収録楽曲は、活動期間中のヒットシングルを中心に構成されています。Side Aには「春の予感‐
I've been mellow‐」や「哀しい妖精」など後期の楽曲が含まれ、Side Bにはデビュー曲の「17才」をはじめ、「
色づく街」「
人恋しくて」といった初期から中期の代表曲が並び、彼女の音楽的な変遷を辿ることができます。作詞家・
有馬三恵子と作曲家・
筒美京平によるゴールデンコンビの作品が多くを占めている点も注目です。
収録曲
Side A
春の予感‐
I've been mellow‐
Ms. (ミズ)
愛なき世代
街角のラブソング (第28回
NHK紅白歌合戦 歌唱曲)
哀しい妖精 (第27回
NHK紅白歌合戦 歌唱曲)
グッバイガール
Side B
人恋しくて (第26回
NHK紅白歌合戦 歌唱曲)
ひとかけらの純情
色づく街 (第24回
NHK紅白歌合戦 歌唱曲)
夏の感情 (第25回NHK紅白歌唱戦 歌唱曲)
哀愁のページ
純潔 (第23回
NHK紅白歌合戦 歌唱曲)
* 17才 (第22回
NHK紅白歌合戦 歌唱曲)
現在の入手状況と関連作品
本ベストアルバム『THE BEST /
南沙織』(
1979年版)は、単体でCDとして復刻された実績はありません。しかしながら、本作に収録されている全ての楽曲は、既に他の
南沙織関連アイテムにおいてCD化されています。特に、2003年11月19日に発売された『
南沙織 THE BEST 〜 Cynthia-ly』という
Super Audio CD(SACD)盤には、本作の収録曲が全て収められています。これは、単体での入手は難しいものの、楽曲自体は現在の音楽メディアで聴くことが可能であることを意味します。
南沙織のベストアルバムとしては、「THE BEST」というタイトルを冠したシリーズが複数存在しており、本作もその一つに数えられます。その他にも、活動時期やコンセプトの異なる様々なベスト盤やシングルコレクションが発売されており、本作はそれら数多の編集盤の中でも、特に「紅白歌合戦での足跡を辿る」という明確なテーマ性を持った作品として位置づけられています。
この『THE BEST /
南沙織』(
1979年版)は、引退後のタイミングで、ファンが彼女の最も輝かしい瞬間の一つである紅白での歌唱曲をまとめて聴けるように企画された、記念碑的なベストアルバムと言えるでしょう。