色づく街

色づく街

「色づく街」は、日本の歌手、南沙織の通算9枚目となるシングル盤レコードとして、1973年8月21日にCBS・ソニーよりリリースされた楽曲です。

解説

秋の訪れと共に、テレビやラジオなどのメディアで耳にする機会が増える、季節感を纏った楽曲として知られています。南沙織自身も、自身のキャリアにおける「代表曲の一つ」としてこの曲を挙げており、彼女の楽曲の中でも特に重要な位置づけがされています。作詞は有馬三恵子、作曲および編曲は筒美京平という、南沙織のヒット曲を数多く手掛けたゴールデンコンビによる作品です。

本作は、南沙織の初期の代表曲である「17才」などと同様に、後世の多様なアーティストによって数多くカバーされている点も特筆されます。これまでに、三田寛子、髙橋真梨子、水野美紀といった、活動時期やジャンルが異なる様々な歌い手がこの楽曲をレコーディングしており、世代を超えて歌い継がれるスタンダードとしての地位を確立しています。

メディアへの露出も多く、南沙織が歌手として通算3回目の出場を果たした『第24回NHK紅白歌合戦』（1973年末）では、この「色づく街」が歌唱曲に選ばれました。さらに、後年特別出場を果たした『第42回NHK紅白歌合戦』（1991年末）においても、再び本作が披露されており、彼女の歌手人生における節目となる舞台で度々選ばれた楽曲であることが伺えます。これらの紅白歌合戦での貴重な歌唱映像は、2006年にリリースされた南沙織のデビュー35周年記念CD-BOX『Cynthia Premium』に付属するDVDなどで視聴することが可能です。また、1984年発売の映像作品集『Hello!Cynthia』には、本作のミュージック・ビデオが収録されています。

シングルのカップリング曲（B面）には、同じく有馬三恵子作詞・筒美京平作曲による「秋の午後」が収められています。これらの両A面とも言える質の高い楽曲を収録したオリジナルアルバム『20才まえ』は、シングル発売から約1ヶ月後の1973年9月21日に発売され、南沙織のオリジナルアルバムの中では最高の売上を記録するヒット作となりました。

本作の歌詞の中で用いられている「青い枯葉」という言葉遣いは、発表当時に一部で「そのようなものは存在しない」と否定的な反応を呼んだというエピソードがあります。しかし、実際には青く見える枯葉が存在し、音楽プロデューサーである酒井政利は、後にこの「青い枯葉」というフレーズこそが楽曲の持つ独特な世界観を見事に表現しており、作詞者である有馬三恵子の非凡な才能を示すキーワードであると述べています。

興味深い関連エピソードとして、2000年12月18日に日本テレビ系で放送されたドキュメンタリー番組『スーパーテレビ情報最前線』の企画内にて、歌手デビュー前の松田聖子が本作をデモテープとして録音したとされる音源の一部が紹介されたことがあります。ただし、この音源は正式には商品化されていません。

収録曲

両楽曲ともに、作詞：有馬三恵子／作曲・編曲：筒美京平

1. 色づく街（2分50秒）
2. 秋の午後（3分29秒）

主な収録作品（LP・CD）

本作は、南沙織の多数のオリジナルアルバム、ベストアルバム、コンピレーションアルバムに再録されており、その人気の高さを物語っています。主な収録作品は以下の通りです。

オリジナルアルバム『20才まえ』（1973年）
ベストアルバム（多数のタイトル、年代で発売）
『南沙織デラックス』（1974年）
『シンシア・ラブ』（1977年）
『THE BEST / 南沙織』（各年版）
『南沙織ベスト Recall 〜28 SINGLES SAORI + 1〜』（1991年）
コンピレーションアルバム
『GOLDEN J-POP/THE BEST 南沙織』（1997年）
『DREAM PRICE 1000 南沙織 色づく街』（2001年）
『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』（2002年）
記念・限定盤
『Cynthia Premium』（2006年 CD-BOX）
『ゴールデン☆アイドル 南沙織』（2014年 CD-BOX）

カップリング曲の「秋の午後」も、『20才まえ』をはじめ、『Cynthia Memories』、『CYNTHIA ANTHOLOGY』、『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』などに収録されています。

主なカバーアーティスト

麻丘めぐみ（1974年）
葉山ユリ（1974年）
シェリー（1976年）
川島なお美（1982年）
三田寛子（1982年）
髙橋真梨子（1989年）
水野美紀（1994年）
Booing!（2001年）
岩崎良美（2013年）

三田寛子のカバー・シングル

特に、三田寛子によるカバーバージョンは、1982年10月1日にCBS・ソニーからシングルとしてリリースされました（規格品番：07SH-1217）。彼女のバージョンは、オリジナルとは編曲者が異なり、川口真が担当しています。カップリング曲は、岩沢幸矢・岩沢二弓作詞・作曲、松原正樹編曲による「ピンク・シャドウ」でした。

関連項目

1973年の音楽
新三人娘（南沙織が属したアイドルユニット）
秋の夜長と上手につきあう17の知恵（本作収録のコンピレーションアルバム）
歌姫 〜センチメンタル女性ヴォーカリスト〜（本作収録のコンピレーションアルバム）

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