TOHJIRO

TOHJIRO（とうじろう、1956年6月17日生まれ）は、日本のAV監督、映画監督、そして実業家です。東京都港区六本木出身で、株式会社オムプロダクションの代表取締役を務めています。

幼少期から映画への情熱を燃やし、チャップリンの『キッド』や『ライムライト』に魅せられ、将来は映画業界で活躍することを夢見ていました。中学校卒業後、明治大学付属中野高等学校定時制に進学し、在学中には円谷プロダクションでアルバイトとして『ミラーマン』の美術制作に携わります。その後、明治大学付属中野高等学校全日制に転籍し、1975年には横浜放送映画専門学院（現・日本映画大学）に入学。同学院の第一期生として映画制作の基礎を学びました。

在学中、映画監督の森崎東氏に師事。森崎監督作品『黒木太郎の愛と冒険』では脚本制作に参加し、自らも「銃一」役で出演しました。この経験が、後に続く監督としての道を切り開く上で重要な役割を果たします。

卒業後は、映像プロデューサーの貞末麻哉子氏と共にミニシアター「クリエイティブ・スペースOM」を六本木に開設。石井聰亙氏や山本政志氏らと共に自主上映会を開催するなど、若手映画人の支援にも尽力しました。同時期には、仲代達矢氏の劇団無名塾の公演にも演出助手として携わり、幅広い経験を積みました。

1984年には、5000万円もの借金を背負いながら、自主制作映画『ゴンドラ』の制作を開始。1986年、完成した『ゴンドラ』は、国内での上映が困難となるも、試写会で森崎東氏や川喜多かしこ氏から高い評価を受け、海外の映画祭で数々の賞を受賞。マルセル・マルタンら海外の著名映画人からも認められる作品となりました。

国内での正式な劇場公開は1988年。谷川俊太郎氏など著名人からも絶賛されましたが、制作時の借金は依然として残ったままとなります。

その後、次作の制作準備を進めていたものの、スポンサーからの干渉や制作費の問題など、様々な困難に直面します。そんな中、知人の紹介でアダルトビデオメーカーのV&Rプランニングと出会い、「好きに撮っていい」という提案を受け、AV監督として活動を開始。1989年、溜池ゴロー氏と共同脚本で制作した『ブルーフィルム』（冴島奈緒主演）でAV監督デビューを果たします。

AV監督としては、制作費を大幅に超える作品を制作し続けるという、破格のチャレンジを続けました。自身の描く世界観に共鳴する女性たちに惹かれ、制作を続けました。当初の借金は増え続けましたが、自身にとっての創作の場は、AV制作へと移行していきました。

1997年には、レンタルビデオからセルビデオへと活動の場を移し、2001年にはアダルトビデオメーカー「ドグマ」を設立。その後も精力的に作品を制作し続け、数多くの作品を世に送り出しました。

2014年には、体調不良でイベントを欠席した森崎東氏に代わり、トークショーに参加。森崎氏から「俺が生きているうちに2本目の映画を見せろや!!」と叱咤激励を受け、その言葉が後年の活動に大きな影響を与えます。

2016年には、イマジカに保存されていた『ゴンドラ』のネガフィルムの劣化や自身の還暦、そして森崎東氏からの叱咤を機に、『ゴンドラ』デジタルリマスター版の制作を決意。2017年には全国各地のミニシアターでリマスター版の上映を行い、再び高い評価を得ました。

2018年には佐賀市で女性限定のAV鑑賞会を開催し、「性」について語り合う場を設けるなど、従来の枠にとらわれない活動を展開。2019年には『ゴンドラ』がHDリマスター版としてDVDとブルーレイで発売されました。

近年では、2023年に制作した映画『しゅら』がドイツのオルデンブルグ国際映画祭ミッドナイト・エクスプレス部門にノミネートされるなど、映画監督としても活動を続けています。TOHJIROは、これからも独自の視点と表現方法で、映画界に新たな風を吹き込み続ける存在として注目されています。

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