TOI-2109

TOI-2109

ヘルクレス座の方向、約870光年（268パーセク）の彼方に、10.2等級の恒星TOI-2109が輝いています。この星の周りには、少なくとも一つの確認された太陽系外惑星が存在することが知られています。

恒星 TOI-2109の特徴

TOI-2109は、分類上F型主系列星に属します。これは太陽のような中心核での水素核融合でエネルギーを生み出すタイプの星ですが、太陽と比較するといくつかの点で異なります。TOI-2109は太陽の約1.7倍の大きさを持ち、これは恒星シリウスAに匹敵するサイズです。質量も太陽の1.4倍あり、その結果、明るさは太陽の約5倍にもなります。表面の有効温度は約6530 K（摂氏約6260度）で、太陽の約5772 K（摂氏約5499度）よりも約10%高温です。TOI-2109の正確な年齢は特定されていませんが、推定では10億年から25億年の間と考えられています。興味深いことに、この星の自転周期は地球の約1日に非常に近い値ですが、これは太陽の約25日という自転周期のわずか25分の1にあたります。

惑星系 TOI-2109

TOI-2109の惑星系は、2021年にトランジット法を用いて発見された惑星TOI-2109 bによって代表されます。この惑星は「ホット・ジュピター」と呼ばれるタイプに分類されます。ホット・ジュピターは木星のような巨大ガス惑星が主星の非常に近くを公転している系外惑星ですが、TOI-2109 bはその中でも極めて短い公転周期を持つ点で注目されています。わずか0.67日、つまり約16時間で主星TOI-2109の周りを一周しており、主星からの距離はわずか0.01791天文単位、約268万キロメートルしかありません。主星にこれほど近いため、TOI-2109 bは非常に強い放射線を浴びています。惑星の昼側の表面温度は驚異的な約3630 K（摂氏約3360度）に達し、これは既知の系外惑星の中でも、かに座55番星eやKELT-9bに次ぐ高温記録です。一方、夜側の温度は約2500 K（摂氏約2230度）未満であり、昼側との間に約1000度の大きな温度差が存在します。物理的な特徴としては、TOI-2109 bは木星の約1.3倍の直径を持ち、質量は木星の約5倍もあります。また、その公転軌道の軸は、主星TOI-2109の自転軸とほぼ揃っていることも観測によって示されています。

未発見惑星の可能性

さらに、2024年には宇宙望遠鏡CHEOPSを用いた観測で、低振幅のトランジットタイミング変化（TTV）が検出されました。このTTVは、現在のところ未確認の別の惑星の重力的な影響によって引き起こされている可能性が指摘されています。もし仮にそのような惑星がTOI-2109系に存在する場合、その公転周期は1.125日より長いであろうと推定されていますが、それ以外の詳細な性質についてはまだ不明なままです。

まとめ

TOI-2109とその極端なホット・ジュピターであるTOI-2109 bは、系外惑星の多様性と極限的な環境を研究する上で重要なターゲットとなっています。特に、超短周期で巨大惑星が主星のすぐ近くを公転する物理機構や、強い放射線下での惑星大気の振る舞いは、今後の観測によってさらに詳細が明らかになることが期待されます。

もう一度検索