TRPM

TRPMチャネルは、一過性受容器電位チャネル（Transient Receptor Potential Channels）と呼ばれるイオンチャネルの一種です。名称の由来は、4文字目の "M" が "メラスタチン"（melastatin）の頭文字であることに由来します。

構造とサブタイプ
TRPMチャネルは、4つのサブユニットが集まって機能する4量体として存在すると考えられています。TRPMファミリーには、TRPM1からTRPM8までの8種類のサブタイプが知られています。他のTRPチャネルファミリー（TRPC、TRPVなど）とは異なり、TRPMチャネルはN末端にアンキリン反復配列を持ちません。一方で、C末端側にチャネルの機能が集約されているという特徴があります。例えば、TRPM6とTRPM7は、セリン・スレオニン特異的蛋白質キナーゼであるα-キナーゼドメインを含んでいます。

透過性と活性化
TRPMチャネルのイオン透過性はサブタイプによって大きく異なり、特にカルシウムとマグネシウムの透過比率に違いが見られます。

TRPM4とTRPM5はカルシウムを透過しません。
TRPM3、TRPM6、TRPM7はカルシウムとマグネシウムの両方を透過します。

また、活性化のメカニズムもサブタイプによって様々です。

TRPM2はアデノシン二リン酸（ADP）によって活性化され、細胞内の酸化還元状態を感知するセンサーとして機能します。
TRPM4とTRPM5は細胞内カルシウム濃度の上昇によって活性化されます。
TRPM8は、低温、メントール、シネオール、イシリンなどの刺激によって活性化されます。

機能
TRPMチャネルは、様々な生理機能に関与しています。以下に主な機能を挙げます。

T細胞の活性化後のカルシウム振動の制御（TRPM4）
味蕾細胞におけるシグナル伝達（TRPM5）
寒冷感覚（TRPM8）
腎臓でのマグネシウム再吸収の制御、および腸からのマグネシウム吸収の制御（TRPM6）
細胞接着性の制御（TRPM7）

遺伝子
TRPM1、TRPM2、TRPM3、TRPM4、TRPM5、TRPM6、TRPM7、TRPM8の遺伝子が知られています。

外部リンク
TRPM Cation Channels - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス（英語）
“Transient Receptor Potential Channels”. IUPHAR Database of Receptors and Ion Channels. International Union of Basic and Clinical Pharmacology. 2015年5月3日閲覧。
* “TRIP Database”. a manually curated database of protein-protein interactions for mammalian TRP channels. 2015年5月3日閲覧。

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