TTゲージ

TTゲージ：テーブルトップの鉄道模型の世界

TTゲージは、鉄道模型の世界において独特の地位を築いている縮尺と軌間を特徴とする規格です。その名称は、テーブルの上でも楽しめるサイズであることに由来する「Table Top」の略称からきています。縮尺は1/101.5から1/120と幅があり、軌間は12mmに統一されています。

歴史と発展：アメリカからヨーロッパへ

TTゲージの誕生はアメリカに遡ります。自動車デザイナーであったHal Joyceが設立したH.P.プロダクツが1946年、最初の製品を発表しました。H[[Oゲージ]]に比べ、ディティールを簡略化できるため低価格で提供できるという利点から、1950年代にはアメリカやヨーロッパで人気を博しました。しかし、その後登場したより小型のNゲージの台頭により、その勢力は徐々に衰えていきます。

特に東ヨーロッパ、とりわけ東ドイツではTTゲージが盛んに製造され、多くの製品が市場に出回りました。Zeuke社やその後のベルリナーTTバーンなどが有名です。西ドイツでは、H.P.プロダクツの後継としてローカル社が製造を行っていましたが、レーヴァ社に買収され、その後ロコ社が独自のTTゲージ製品を展開するなど、歴史は複雑に絡み合っています。

イギリスでは、アメリカやヨーロッパ大陸とは異なる縮尺1/101.5（3mmスケール）が採用されました。これは、イギリスの車両がアメリカやヨーロッパ大陸の車両に比べ小型であったためです。トライアング社がTTゲージに参入したものの、1967年に撤退し、現在では愛好家団体である3mmソサエティがその普及活動の中心となっています。

日本においては、1950～60年代にアメリカ向けの輸出生産が行われたものの、日本型車両は登場しませんでした。関水金属（KATO）はNゲージを採用する前にTTゲージのC50を試作したという歴史もあります。近年では、日本の鉄道の標準軌間1067mmを1/120で縮尺した軌間9mmのTTゲージ（tt-9）の普及を目指すプロジェクトも存在します。

規格とバリエーション：標準軌とナローゲージ

TTゲージの規格は、縮尺と軌間で幾つかのバリエーションが存在します。基本となるのは、標準軌（1435mm）を縮尺した12mm軌間です。縮尺は、イギリスが1/101.5であるのに対し、それ以外の地域では1/120が一般的です。

ナローゲージに関しては、実物の軌間やメーカーによって呼称や規格が異なり、TTn3（軌間914mm）、TTm（軌間1000mm）、NZ120（ニュージーランドの1067mmを再現）、日本のTT9（1067mmを再現）などがあります。これらのナローゲージは、多くが9mm軌間の線路を使用します。

製品と製造：多様なメーカーと製品群

TTゲージの製品は、車両、線路、電源装置、ストラクチャー、アクセサリーなど多岐に渡ります。ヨーロッパでは、ティリーヒ社のような大手メーカーから、中小メーカー、個人製作のガレージキットまで、幅広い製品が供給されています。初心者向けのスターターセットも販売されているため、手軽に始めることができます。

日本においては、TTゲージが主流ではないため、スターターセットはほとんど存在せず、各部材を個別に揃える必要があります。

車両：多様な素材と駆動方式

TTゲージの車両は、プラスチック製射出成形品が主流です。動力車には、重量が必要なためダイカスト製のものもあります。プラモデルのような組立キットや真鍮、ウレタン樹脂、ホワイトメタル製キットも存在します。駆動方式は、主に電気モーターによる直流二線式で、デジタルコマンドコントロールにも対応した製品が増えています。

線路：道床付きと道床無し、組み立て式とフレキシブル線路

線路は、道床付きと道床無しの2種類、組み立て式とフレキシブル線路の2種類があります。道床付き線路はレールと枕木、砂利が一体化しているのに対し、道床無し線路はレールと枕木のみで構成されています。組み立て式は予め曲線半径と角度が決まっているのに対し、フレキシブル線路は自由な曲線を描くことができます。

その他の製品：ストラクチャー、アクセサリー、シーナリー用品

ストラクチャーはレイアウトの建物を、アクセサリーは車両以外の模型製品全般を指します。シーナリー用品は地形や植生などを表現するための部材です。これらの製品は、様々なメーカーから多様な素材で提供されています。

まとめ

TTゲージは、その独特の縮尺と軌間、そして豊富な製品群により、世界中で愛好家を魅了し続けています。Nゲージに比べて大型であるため、精密な模型製作を楽しみたい方にとって最適な選択肢と言えるでしょう。その歴史と多様性、そして現在も続く発展は、鉄道模型の奥深さを改めて感じさせてくれます。

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