TVLM 513-46546

TVLM 513-46546

うしかい座の空に位置するTVLM 513-46546は、M9型のスペクトルを持つ超低温矮星です。この天体は、恒星である赤色矮星と、惑星に近い性質を持つ褐色矮星とのちょうど境界にあたる領域に分類されます。

天体の特徴

TVLM 513-46546は、その質量が太陽のおよそ8%に相当し、木星の約80倍です。これは、恒星として核融合反応を維持できる下限質量に近い値です。

この天体は「閃光星」として知られており、突発的な増光や、特に電波領域で強い放射を示します。その強い磁場は、電波放射の源と考えられています。TVLM 513-46546から放たれる電波は、惑星のオーロラ放射に似ており、広帯域かつ円偏波という特徴を持っています。

さらに注目すべきは、この電波の放出が非常に周期的なバーストとして観測されている点です。バーストは7054秒という正確な間隔で、100分の1秒という高い精度で繰り返されます。観測された電波パルスのわずかな変動は、この超低温矮星が極よりも赤道で速く回転している、いわゆる「差動回転」を行っている可能性を示唆しています。

惑星系 TVLM 513-46546 b

2020年8月4日には、TVLM 513-46546の周囲を公転する太陽系外惑星「TVLM 513-46546 b」が発見されました。この惑星は、天体の位置のわずかなずれを精密に測定する「アストロメトリ法」を用いて発見されました。メキシコ国立自治大学のサルバドール・クリエル（Salvador Curiel）氏らの研究グループによってその発見を報告する論文がまとめられ、8月5日にプレプリントサーバーarXivに投稿されました。

発見された惑星TVLM 513-46546 bは、

質量: 木星の約0.35～0.42倍
公転周期: 約221±5日
軌道距離: 中心星から0.28～0.31天文単位
軌道傾斜角: 71～88度
* 軌道形状: ほぼ円形（離心率e≃0）

という特徴を持ちます。その質量は太陽系における土星に近いサイズです。

科学的重要性

興味深いことに、TVLM 513-46546 bのような比較的重い（木星型の）惑星が、中心星の質量が小さい超低温矮星の周囲で形成されることは、従来の惑星形成モデル、特に「コア集積モデル」の予測からは珍しいケースとされています。コア集積モデルでは、このような小さな原始惑星系円盤では重い惑星の核を十分に形成する時間が足りないと考えられていたためです。このため、宇宙にTVLM 513-46546 bのような惑星がどれだけ存在しているかを明らかにすることが、今後の惑星形成に関する理論を構築する上で極めて重要な課題となっています。TVLM 513-46546 bの発見は、多様な環境における惑星形成の可能性を示唆する、重要な事例と言えます。

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