TVR・タスカン

タスカンについて

タスカンは、イギリスの自動車メーカーであるTVRが製造したスポーツカーです。この車はクーペ型のデザインで、初代モデルが1967年にロンドンショーで発表され、1968年から販売が始まりました。タスカンは、TVR・グリフィス400の後継車として位置づけられており、その骨格はTVR・グランチュラ由来の鋼管フレームとFRPボディを採用しています。

初代タスカン (1967〜1971)

初代タスカンは、スポーティな外観が特徴で、そのデザインは後の「Mシリーズ」にも似ています。これにはフォード製のV8エンジンが搭載されており、標準モデルの「V8」を始め、281馬力の「V8SE」、そのロングホイールベース版「V8SE LWB」、さらに1969年にはフォード製の3.0L V6エンジンを搭載した「V6」が追加されました。

各モデルの生産台数は以下の通りで、

• - V8: 28台
• - V8SE: 24台
• - V8SELWB: 21台
• - V6: 101台

V8モデルは1970年、V6モデルは1971年にそれぞれ生産が終了しました。

2代目タスカン (1999〜2006)

2代目タスカンは1999年に登場し、日本では2000年11月から販売されました。外観はロングノーズ・ショートデッキスタイルで、フロントには特徴的な穴が配置されています。また、FRP製の脱着可能なルーフとアクリル製のリヤウィンドーを備え、タルガトップ形式やロールバー付きオープンカーに変更することができるのが大きな魅力です。

内装にはアルミと真鍮が使われ、個性的で斬新なデザインが施されています。この世代では、操作系統や装備もユニークで、ドアオープンはボタン式、給油はトランクを開けて行うなど、運転者に高い技術を要求する部分もあります。

車両自体は全長4,235mm、全幅1,810mm、全高1,200mmとコンパクトながら、1,100kgという軽量性を誇ります。搭載されるエンジンはドライサンプ式の直6DOHC「Speed Six」で、初期モデルは4.0Lで360馬力を発揮し、その後は排気量が3.6Lに変更され350馬力となりました。特に「タスカンS」モデルはさらに高性能で、エアロパーツやタイヤサイズが強化されています。

2006年にはマイナーチェンジが行われ、外観や内装が一新されました。このモデルでは、シートベルト装置が特殊な構造を採用し、コンバーチブルとしての魅力も強化されましたが、同年12月にTVRが経営破綻したことで、生産が終了することになります。

タスカンはそのユニークなデザインと性能で、多くの自動車ファンに愛されてきました。また、完全なオーダーメイドが可能なカラーリングと内装デザインも、この車特有の魅力の一つです。タスカンの存在は、TVRの歴史の中で重要な位置を占めています。

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