TeX Live

TeX Live

概要

TeX Liveは、世界的に利用されている文書組版システム、TeXの主要なディストリビューション（配布パッケージ）の一つです。以前広く使われていたteTeXの後継と位置づけられ、現在ではFedora、Debian、Ubuntuなどの主要なLinuxディストリビューションで標準採用されています。OpenBSD、FreeBSD、NetBSDといった他のUNIX系OSでもTeX Liveへの移行が進んでおり、UNIX/Linux環境における標準的なTeX環境としての地位を確立しています。

開発経緯と構造

TeX Liveプロジェクトは、1996年にSebastian Rahtz氏を中心に、各国のTeXユーザーグループとの協力で始まりました。現在はKarl Berry氏がメンテナンスを行っています。バージョン2009まではCD/DVD等からのライブ起動が可能でしたが、2010年以降は容量増加に伴いこの機能はなくなりました。TeX Liveは、TeX関連ファイルの標準的な配置方法であるTeX Directory Structure（TDS）に準拠しています。

提供環境と主要機能

TeX Liveはマルチプラットフォームに対応しており、特にバージョン2009以降、Windows版およびmacOS版にはTeXworksエディタやベクタグラフィックス言語Asymptoteが同梱されています。

macOSユーザー向けには、TeX Liveを基盤としたMacTeXパッケージがあり、TeXShopエディタや文献管理ツールBibDeskなど、MacでのTeX利用に便利なツール群が含まれています。また、MacPortsなどのパッケージ管理システムを通じたインストールも可能です。

日本語対応の進化

国際的なTeX Liveは多言語をサポートしており、特に日本語環境の整備が進んでいます。2010年版以降、日本語組版に必要な多くのパッケージが本体に統合されました。

• - 2010年: 日本語組版エンジンpTeX/pLaTeXを収録。
• - 2011年: レジストリ拡張版ε-pTeXを追加。
• - 2012年: 内部Unicode処理版upTeX/ε-upTeXを収録。IPAフォント、babel-japanese、OpenTypeフォント用VF (japanese-otf-uptex)、LuaTeX-jaも追加され、日本語環境が大幅に拡充されました。

これらの発展により、TeX Liveは日本語を含む多言語での高品質な文書組版をサポートする、現代的なTeXディストリビューションとなっています。

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