Common Desktop Environment

Common Desktop Environment (CDE) について

Common Desktop Environment（CDE）は、「共通デスクトップ環境」とも呼ばれ、主にUNIXおよびOpenVMSオペレーティングシステムで使用されていたデスクトップ環境です。かつては商用UNIXワークステーションにおける標準的な環境として広く普及していました。

CDEは、GUIツールキットであるMotifをベースとして、さらに拡張したものです。2012年にオープンソース化されるまでは、商用ソフトウェアとして提供されていました。オープンソース化以降、様々なプラットフォームへの移植が進められています。

歴史

CDEの開発は、1993年6月にヒューレット・パッカード (HP)、IBM、USL、サン・マイクロシステムズが共同で開始した、Common Open Software Environment (COSE) イニシアチブの一環として発表されました。CDEの基盤となったのは、HPのVisual User Environment (VUE) です。VUE自体は、Motif Window Manager (mwm) から派生しています。

開発各社はそれぞれ独自の技術を提供しました。IBMは Common User Access モデルとワークプレース・シェルを、ノベルは UNIX System V からデスクトップマネージャの部品とスケーラブルシステム技術を、サン・マイクロシステムズは OpenWindows 環境から ToolTalk というアプリケーション連携フレームワークと、メールクライアントやカレンダークライアントなどの生産性ツール DeskSet を提供しました。

1994年3月には、CDEの管理が Open Software Foundation (OSF) に引き継がれ、1995年9月には、MotifとCDEを統合したCDE/Motifプロジェクトが発足しました。1996年には、OSFがThe Open Groupの一部となりました。

2000年頃までCDEはUNIXデスクトップの事実上の標準とみなされていましたが、KDEやGNOMEといった自由ソフトウェアのデスクトップ環境がLinuxプラットフォームで急速に普及しました。レッドハットは、Linuxベンダーとして唯一CDEを移植しましたが、KDEやGNOMEの台頭によってその役割を終えました。

2001年、サン・マイクロシステムズはSolarisにおける標準デスクトップ環境をCDEからGNOMEに段階的に移行することを発表しました。2005年にリリースされたSolaris 10には、CDEとGNOMEベースのJava Desktop Systemの両方が含まれていましたが、2011年11月リリースのSolaris 11では、デスクトップ環境としてGNOMEのみが提供され、CDE関連のライブラリはバイナリ互換性のために残されるのみとなりました。

HPのOpenVMSでは、CDEが標準のデスクトップ環境として採用されています。

Motifは2000年にOpen Motifとしてリリースされましたが、そのライセンスはオープンソースの定義には完全には合致しませんでした。The Open GroupはMotifをオープンソース化することを望んでいましたが、進捗は十分ではありませんでした。2006年には、The Open Groupに対してCDEとMotifのソースコードをフリーなライセンスで公開するよう求める請願が出されました。

Xfceデスクトップは一時期、CDEに似た外観を持っていましたが、現在は変更されています。

オープンソース化

2010年には、CDEのソースコードを全く使わずに、CDEのルック・アンド・フィール、構成、機能を再現することを目的としたOpenCDEプロジェクトが開始されました。その後、2012年8月6日、CDEがLGPLv2ライセンスでオープンソース化され、公開されました。

CDEを利用しているオペレーティングシステム

CDEは、以下のオペレーティングシステムで利用されていました。

AIX (IBM)
Digital UNIX / Tru64 UNIX (DEC、現HP)
HP-UX (HP) - バージョン 10.10 以降
OpenVMS (DEC、現HP)
Solaris (サン・マイクロシステムズ) - アドオンとして2.3から導入。2.6から10までは標準。
UnixWare (Univel)
IRIX (SGIは一時期、独自デスクトップ環境IIDの代替としてCDEを提供)

CDEプロジェクト下での開発

オープンソース化後、CDEは活発に開発が行われています。

2014年3月には、初の安定版（2.2.1）がリリースされました。
バージョン2.2.2（2014年7月リリース）からは、FreeBSD 10において、デフォルトのClangコンパイラでのコンパイルが可能になりました。
バージョン2.3.0（2018年7月リリース）からは、LinuxでTIRPCを利用するようになり、insecure modeで実行するためにポートマッパーとrpcbindが不要となりました。また、Xprintは廃止され、BSDでMotifのカスタム版を最初にインストールすることなくコンパイルできるようになりました。複数ディスプレイはXineramaによってサポートが改善されました。

移植されたシステム

自由ソフトウェアとしてリリースされて以降、CDEは以下のシステムに移植されています。

Linuxディストリビューション
Debian GNU/Linux
Red Hat Enterprise Linux
Slackware Linux
Ubuntu
FreeBSD
NetBSD
OpenBSD
OpenIndiana
Solaris 11（x86-64）

今後の展望

CDEプロジェクトでは、以下の目標を掲げています。

Linux、BSD、その他のUnix系プラットフォームへの移植性を向上させる。
多言語対応を進める。

CDEは、かつての商用UNIX環境において重要な役割を果たしたデスクトップ環境であり、オープンソース化によって再びその存在感を示しています。

参考資料

CDE press release
Petition to Open Source CDE and Motif

外部リンク

AIX - CDE (from Wayback archive)
HP-UX - CDE
Solaris - CDE
Tutorial for the CDE
* Open Group - CDE

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