Time Machine (ソフトウェア)

Time Machineとは

Time Machineは、Appleが開発したmacOSに標準搭載されているバックアップ機能です。Mac OS X v10.5以降のバージョンで利用可能で、ユーザーの重要なデータを保護するために設計されています。

主な特徴

包括的なバックアップ: Time Machineは、個々のファイルやフォルダだけでなく、システムファイル、アプリケーション、環境設定など、コンピュータ全体のデータをバックアップします。
自動バックアップ: 設定された間隔で自動的にバックアップが実行されるため、手動でバックアップを行う手間が省けます。
増分バックアップ: 変更されたファイルのみをバックアップする増分バックアップ方式を採用しているため、バックアップ時間を短縮し、ストレージ容量を節約できます。ハードリンクを使用することで、ファイル構成上はフルバックアップのように見えます。
自動データ管理: バックアップデータは時間経過とともに自動的に間引かれます。24時間から1ヶ月までは1日単位、それ以降は週単位でデータが保持されます。また、バックアップに使用する容量が不足した場合は、古いバックアップデータから順に削除され、必要な容量が確保されます。
柔軟な復元: バックアップされたデータは、FinderやSpotlightから簡単に参照・復元できるほか、特徴的なGUIからも操作可能です。CUIからは`tmutil`コマンドで詳細な操作が可能です。システム全体の復元や、新規インストール後の環境移行もTime Machineのバックアップデータを利用して行うことができます。
暗号化: macOS Lion以降では、FileVault2を利用してバックアップ先ドライブを暗号化することが可能になり、セキュリティが強化されました。
ファイルシステムイベント追跡: Mac OS X v10.4以降のカーネルに組み込まれたファイルシステムイベント追跡機能（FSEvents）により、変更のあったディレクトリのみを効率的に取得しています。この仕組みは、launchdのWatchPathsなどでも使用されています。

バックアップ先

Time Machineのバックアップには、外付けハードディスクやNASなどの専用ボリュームが必要です。ただし、バックアップに使用されていない領域は、他の用途にも利用できます。

以前は、AppleがTime Capsuleというハードディスクを内蔵したAirMacベースステーションをTime Machineのバックアップ先として提供していました。また、macOS Serverを利用してTime Machineサーバーを構築することもできましたが、macOS High Sierra以降はOSの機能として組み込まれ、ファイル共有の設定画面から選択できるようになりました。

macOS Big Surでの進化

macOS Big Surでは、Time MachineがAPFS（Apple File System）に対応し、バックアップの速度が向上し、データサイズがよりコンパクトになり、信頼性が向上しました。

他のバックアップツールとの比較

Time Machineに類似するバックアップツールとして、以下のようなものが挙げられます。

Windows 8 ファイル履歴: Windows 8で導入された機能で、ユーザーのファイルやフォルダを定期的にバックアップします。
FlyBack: Linux向けのバックアップソフトウェアで、UNIXコマンドのrsyncを利用してバックアップを作成し、ファイルシステム全体の自動バックアップを実現します。
Dumpfs / pdumpfs: Plan 9のために開発されたバックアップシステムで、pdumpfsは毎日のバックアップをスナップショットとして保存します。pdumpfsにはWindows版も存在します。

その他の情報

Time Machineは、Linuxにおけるinotifyとrsyncを組み合わせ、ファイルブラウザに操作画面を統合したようなものと捉えることができます。バックアップされたファイルは削除することも可能です。

外部リンク

Time Machineサポート - Apple
Mac ハンドブック：Time Machine
Leopard標準バックアップツール「Time Machine」を使いこなす - マイナビニュース
もっと知りたい！ Snow Leopard - 第8回 Macのバックアップ、Time Machineで始めよう！ - ASCII.jp

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