Tomuya

Tomuya（トムヤ）は、日本の東京都で生まれ、現在はフランスのパリを活動の中心とするシンガーです。かつては遠藤トム也という名で知られていました。

初期と多様なバックグラウンド

Tomuyaのキャリアは、幼少期に学んだ日本の古典芸能である能や、十七文字に情景を凝縮する俳句といった、ユニークな素養に深く根差しています。1960年代後半には、既成概念にとらわれないアヴァンギャルドな舞台表現の世界へと足を踏み入れ、その活動をスタートさせました。当初はロックバンドのボーカリストとしてステージに立ちましたが、やがてソロでの表現を追求するようになります。東京では、伝説的なジャズ喫茶「銀巴里」をはじめ、数多くのライブスポットでその歌声を披露し、経験を重ねました。

パリへの軌跡と国際的な活動

パリとの縁は、1973年に初めてこの街を訪れたことに始まります。その後、1976年には自身の最初の詩集を刊行するなど、音楽以外の表現活動も並行して行いました。1982年には、ワーナーパイオニアより初のオリジナルアルバム『夜と彷徨』をリリースし、日本の音楽シーンにおいても存在感を示します。

転機となったのは1992年、Tomuyaは活動の拠点を本格的にフランスのパリへと移す決断をします。フランスでの初期公演は「リモネール」で行われ、その後も現地の著名なライブハウスで精力的にライブ活動を展開し、現地の観客を魅了していきました。

映画とジャズ、そしてコラボレーション

Tomuyaは熱烈な映画愛好家であり、ジャズにも深い造詣を持つ人物でした。その関心は自身の音楽活動にも色濃く反映され、渋谷ジァンジァンなどを舞台に、「シネマ・ジャズ」と題した映画音楽をテーマにしたコンサートや、戦後日本のスウィング・ジャズに焦点を当てた「ジャズ45」といった、独創的な企画のコンサートをプロデュースし、開催しました。

1996年には、映画監督デヴィッド・リンチ作品の音楽で世界的に知られる作曲家、アンジェロ・バダラメンティとの運命的な出会いを果たします。この出会いは共同での創作へと繋がり、ニューヨークにて楽曲「ルビー・ドラゴンフライズ」のレコーディングを行いました。1998年には、パリ演劇界における権威ある劇場の一つ、ブッフ・デュ・ノール劇場での公演を念願通り実現させ、アーティストとしての地位を確固たるものにしました。その後も、パリ、ベルギー、東京など、様々な都市で継続的に公演活動を行い、国内外でそのパフォーマンスを披露しました。

2001年には、ヨーロッパを代表するジャズミュージシャンであるピアニストのフランシス・ロックウッドとベーシストのジャン＝フィリップ・ヴィレの両名と共に、6曲から構成されるアルバム『TOMUYA』を制作。ジャズとの融合による新たな音楽性を開拓しました。

フランスでの成功と凱旋

2007年、Tomuyaはフランスの著名なポップスターたち（ラヴィリエ、レジーヌ、リオ、リアーヌ・フォーリーなど）をデュエット相手に迎えたアルバム『アン・ジャポネ・ア・パリ』（ヴェルーガ）を発表します。このアルバムは大きな話題を呼び、同年4月には、パリの音楽界における聖地ともいえるオランピア劇場での単独公演を成功させました。この公演は大成功を収め、その活躍はテレビ、ラジオ、雑誌など、多くのメディアで大きく取り上げられ、フランス全土にその名を知らしめることとなりました。

フランスでの成功を背景に、翌2008年9月には、実に26年ぶりとなる東京・渋谷パルコ劇場での凱旋公演を果たし、日本の音楽ファンを再び熱狂させました。

主要アルバム

夜と彷徨（1982年）
Ruby Dragonflies（1996年）
* Un Japonais à Paris - パリの日本人 -（2007年）

Tomuyaのキャリアは、日本の伝統からアヴァンギャルド、ロックからジャズ、そしてシャンソンに通じるパリでの活動に至るまで、常に境界を越え、探求を続ける軌跡と言えるでしょう。

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