TrES-4

TrES-4は、これまでに発見されている太陽系外惑星の中でも、特に大きな直径を持つガス惑星の一つとして知られています。地球からおよそ1400光年離れたヘルクレス座の方向に位置しています。

発見

この惑星は、太陽系外惑星の探査を目的としたプロジェクトであるTrES（Trans-atlantic Exoplanet Survey）の一環として、ローウェル天文台での観測によってその存在が確認されました。惑星が主星の前を通過する際に生じるわずかな光量の減少を捉える「食検出法」、あるいは「トランジット法」という手法が用いられました。2006年に発見され、翌2007年にその存在が正式に発表されました。

物理的特徴

TrES-4の最も顕著な特徴は、その巨大なサイズにあります。直径は太陽系最大の惑星である木星の約1.8倍（具体的には1.799倍）にも達します。しかし、その質量は木星の約0.92倍（具体的には0.919倍）と、木星と大差ありません。この大きな体積に対して質量が比較的小さいため、TrES-4の平均密度は非常に低く、わずか0.333 g/cm³しかありません。これは、土星の環の中にある非常に小さな衛星、メトネとほぼ同じ密度です。

発見当時、TrES-4はその時点までに知られていた太陽系外惑星の中で、最も直径が大きく、同時に最も密度の低い惑星として記録されました。しかし、この記録は2009年5月1日に発見されたさらに低密度の巨大惑星、WASP-17bによって塗り替えられました。TrES-4以外にも、WASP-12bやWASP-17b、カメレオン座CT星b、おおかみ座GQ星bなど、TrES-4よりも大きな直径を持つ太陽系外惑星がいくつか見つかっています。

軌道と環境

TrES-4は、その主星から非常に近い軌道を公転しています。軌道半径は約730万キロメートルと太陽系の惑星に比べると極めて小さく、主星をわずか3.543日という短い周期で一周します。主星への近さから、TrES-4の表面温度は非常に高いと推定されており、その温度は1300℃にも達すると考えられています。

TrES-4がなぜこれほどまでに大きく膨張し、極めて低い密度を持つのかは、現在の天文学における未解決の謎の一つです。主星からの強い放射を受けて膨張していると考えられていますが、そのメカニズムの詳細はまだ明らかになっていません。

主星と惑星系の構成

TrES-4の主星（恒星GSC 02620-00648の一部）は、太陽よりもやや重い恒星であり、その質量は太陽の約1.22倍です。この主星は既に恒星としての進化段階が進んでおり、中心部での水素による核融合反応が終わりに近づき、外層が膨張して赤色巨星へと移行し始めている段階にあります。恒星の進化に伴い、今後数十億年以内には主星がさらに大きく膨張し、TrES-4の軌道にまで達して、最終的に惑星を飲み込んでしまう可能性が高いと予測されています。

また、2008年に行われた詳細な研究によって、TrES-4が属するGSC 02620-00648星系は、単独の恒星ではなく、実は二つの恒星が互いの周りを回る連星系であることが判明しました。この連星系の存在が明らかになったことで、惑星TrES-4の質量や半径などの物理的な諸元値を、より正確に測定・計算することが可能となりました。

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