WASP-17b

WASP-17b：逆行軌道を持つ巨大ガス惑星

WASP-17bは、恒星WASP-17を公転する太陽系外惑星で、ホット・ジュピターに分類されます。2009年8月11日に発見が報告され、その特異な特徴で注目を集めています。特に、中心星の自転と逆向きに公転している可能性が高く、初めて発見された逆行惑星として知られています。また、非常に大きな直径と低い密度を持つ天体であると考えられています。

発見の経緯

WASP-17bは、イギリス・キール大学のデイビッド・アンダーソン率いる研究チームによって発見されました。彼らは、地球から約1000光年離れた恒星WASP-17を観測し、その前を巨大ガス惑星が通過する際のわずかな減光を捉えることに成功しました。この観測には、南アフリカ天文台の望遠鏡アレイが用いられ、スーパーWASPサーベイによって発見された17番目の惑星として、WASP-17bと名付けられました。

初期の観測から、この惑星が非常に大きいことが明らかになりました。その後、ジュネーブ天文台の研究チームが、主星の視線速度変化に伴うドップラーシフトを測定し、惑星の質量と軌道離心率を算出しました。さらに、ロシター効果の測定によって、WASP-17bが主星の自転方向とは逆向きに公転していることが判明しました。

特徴

WASP-17bは、直径が木星の約1.5倍から2倍、質量が木星の半分程度と推定されています。平均密度は0.08から0.19g/cm³と非常に低く、木星の1.326g/cm³や地球の5.515g/cm³と比較すると、極めて稀な天体であることがわかります。この低密度は、惑星が恒星に非常に近い楕円軌道を持つために、潮汐摩擦によって内部に熱が発生していることが原因と考えられています。

さらに、WASP-17bは軌道傾斜角が150度の逆行軌道を持っている可能性が高いとされています。これはロシター効果の観測によって示唆されており、もし事実であれば、逆行軌道を持つ惑星が発見された最初の事例となります。WASP-17bがこのような逆行軌道を持つようになった原因はまだ解明されていませんが、いくつかの仮説が提唱されています。例えば、他の惑星との接近時に強い重力散乱を受けて楕円軌道に弾き飛ばされたという説や、未発見の伴星から古在メカニズムを通して影響を受け、徐々に軌道傾斜角が変化したという説があります。

衛星の可能性

WASP-17bには、エクソ・イオと呼ばれる衛星WASP-17b Iが存在する可能性が示唆されています。しかし、この衛星の存在はまだ確定しておらず、今後の観測によって更なる検証が必要です。

その他の情報

WASP-17bの発見は、太陽系外惑星の研究において重要な一歩となりました。その特異な軌道や物理的特徴は、惑星形成のメカニズムや進化過程を理解する上で、貴重な情報を提供しています。今後も、WASP-17bをはじめとする太陽系外惑星の観測研究が進むことで、宇宙における惑星系の多様性について、より深く理解が進むことが期待されます。

関連天体

HAT-P-7b: WASP-17bの発見報告の翌日に存在が公表された、2例目の逆行軌道を持つ系外惑星です。
TrES-4: WASP-17bと同様に、大直径と低密度で知られる系外惑星です。
極端な太陽系外惑星の一覧

外部リンク

NASA Exoplanet Archive - 惑星系 - b - Overview - TransitView
The Extrasolar Planets Encyclopaedia
SIMBAD - 恒星 - 惑星
Open Exoplanet Catalogue
Exoplanets Data Explorer
* Exokyoto - 日本語 - 英語

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