Tu-114 (航空機)

Tu-114 - ソ連の長距離ターボプロップ旅客機

Tu-114（ロシア語：Ту-114）は、ツポレフ設計局によって1950年代に開発された長距離ターボプロップ旅客機である。この機体はソビエト連邦で運用され、特に無着陸で長距離を飛行できる能力が注目された。NATOコードネームは「クリート」と呼ばれ、ソ連国内では「ロシア」という愛称で渾名された。

開発の経緯

Tu-114の基盤となったのは、ソ連軍により運用されていたTu-95爆撃機である。主に旅客機としての用途に適するよう設計変更が施され、胴体を若干太く、主翼を中翼配置から低翼配置に変更することで、より快適な搭乗環境を実現した。初飛行は1957年11月15日であり、その後の試作機は1959年のパリショーにも参加した。

特に注目すべきは、初代のTu-114が1961年からアエロフロートによって定期便として運航され、モスクワ - ハバロフスクなどの路線で無着陸飛行を実現したことだ。これにより、従来の機体では必ず必要であった途中給油を省くことができ、効率的な運航が可能となった。量産型は1964年までに31機が完成し、政府関係者の特別機としても使用された。

特徴と性能

Tu-114の最大の特徴は、4基の二重反転プロペラである。この設計により、当時のジェット輸送機と同等の速度を出すことができ、西側の民間旅客機と比較しても優れた性能を持っていた。定員は170名から200名であり、一部の機体は燃料タンクを増設した改造機としても運用されていた。

その一方で、Tu-114は当時の民間空港ではその大きさ故に運用上の制約があり、特に誘導路や滑走路のサイズに問題が見られた。さらに、騒音や振動が大きかったため、乗客にとって快適な搭乗を提供する点では課題もあった。

国際線と日本における運用

1963年からは国際線の運航も開始され、特に長距離路線としてモスクワ - ハバナの路線でその能力が試された。日本においては、1967年から1969年にかけてモスクワ - 東京間の定期便がTu-114によって運航され、日ソ間の交流を促進した。この際、日本航空との共同運航として話題になった。

引退とその後

しかし、1970年には構造強度不足から金属疲労が問題となり、最終的に1973年には旅客運航から引退することとなった。La-62の登場により、より効率の良い航空機へと移行が進んだ。現在では、Tu-114はウリヤノフスク民間航空史博物館やモニノ空軍博物館などに保存されている。

要目

• - 全長: 54.10 m
• - 翼巾: 51.10 m
• - 全高: 15.50 m
• - エンジン: クズネツォーフ NK-12MV ターボプロップエンジン ×4
• - 推力: 14,496wps
• - 乗員: 5
• - 座席数: 120-220
• - 最大離陸重量: 171,000 kg
• - 巡航速度: 870 km/h
• - 航続距離: 8,950 km（定員60名制限）

Tu-114はその卓越した性能により、ソ連の航空史において重要な役割を果たした一機である。

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