UFC 5

UFC 5: リターン・オブ・ザ・ビースト

1995年4月7日、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロットのインディペンデンス・アリーナにて開催された総合格闘技イベント、UFC 5。そのサブタイトルである『リターン・オブ・ザ・ビースト（野獣の帰還）』が示す通り、かつての強豪ダン・スバーンのUFC復帰が最大の話題となりました。

大会概要

この大会は、スバーンの活躍のみならず、複数の重要な出来事が重なった節目と言えるでしょう。まず、スバーンは見事トーナメントを制覇。ジョー・チャールズ、オレッグ・タクタロフ、デイブ・ベネトゥーといった強敵たちを次々と破り、優勝の栄光を手にしました。

一方、メインイベントとして予定されていたのは、初代UFCスーパーファイト王座（後のUFC世界ヘビー級王座）決定戦。ケン・シャムロックとホイス・グレイシーという、当時最強クラスの格闘家が激突しました。しかし、この試合は時間切れで決着がつかず、王座決定は次のUFC 6に持ち越しとなりました。この結果は、多くのファンに衝撃と期待を与えたことは間違いありません。

さらに、この大会はグレイシー一族のUFCにおける転換期となりました。ホイス・グレイシーとホリオン・グレイシーがUFCからの撤退を表明したのです。ホイス・グレイシーはその後、2006年のUFC 60で復帰を果たしますが、この時点では今後の活動に大きな疑問符が残りました。また、ホリオン・グレイシーとアート・デイビーは、共同で所有していたWOWプロモーションをセマフォア・エンターテイメント・グループに売却しました。この売却は、UFCの運営体制にも大きな変化をもたらす出来事であったと言えるでしょう。

ルール改正

UFC 5では、大きなルール改正が行われました。それまで時間制限がなかった試合に、初めて制限時間が導入されたのです。トーナメント1回戦と準決勝は20分1ラウンド、決勝戦とスーパーファイトは30分1ラウンドというルールが適用されました。この変更は、試合の展開や戦略に大きな影響を与え、より戦略的な試合運びが求められるようになったと言えるでしょう。

試合結果

大会では、トーナメント戦に加え、リザーブマッチも実施されました。リザーブマッチでは、デイブ・ベネトゥー選手とガイ・メッツァー選手が勝利し、トーナメントへの出場権を獲得しました。

トーナメントでは、スバーン選手が圧倒的な強さで勝ち進み、決勝戦ではベネトゥー選手を下して優勝を飾りました。準決勝では、ヘス選手の負傷によりベネトゥー選手が繰り上がりで決勝に進出するなど、試合展開は波乱含みでした。一方、シャムロック選手とグレイシー選手のスーパーファイトは、時間切れによりドローという結果に終わりました。

以下、主な試合結果です。

リザーブマッチ
デイブ・ベネトゥー ○ vs × アスベル・カンシオ (1R 0:21 TKO)
ガイ・メッツァー ○ vs × ジョン・ダウディ (1R 2:02 TKO)
トーナメント1回戦
ジョン・ヘス ○ vs × アンディ・アンダーソン (1R 1:23 TKO) ※ヘス選手の負傷によりベネトゥー選手が繰り上がり
トッド・メディーナ ○ vs × ラリー・キュアトン (1R 2:55 腕ひしぎ十字固め)
オレッグ・タクタロフ ○ vs × アーニー・バーディシア (1R 2:23 チョーク)
ダン・スバーン ○ vs × ジョー・チャールズ (1R 1:38 チョークスリーパー)
トーナメント準決勝
デイブ・ベネトゥー ○ vs × トッド・メディーナ (1R 2:12 TKO)
ダン・スバーン ○ vs × オレッグ・タクタロフ (1R 4:21 TKO)
UFCスーパーファイト王座決定戦
ケン・シャムロック △ vs △ ホイス・グレイシー (時間切れ)
トーナメント決勝
* ダン・スバーン ○ vs × デイブ・ベネトゥー (1R 3:01 腕ひしぎ三角固め)

UFC 5は、新たな時代への幕開けを告げる大会として、UFCの歴史に刻まれたと言えるでしょう。スバーンの復活、グレイシー一族の動向、そしてルール改正と、様々な要素が絡み合い、多くの話題を提供した大会でした。この大会以降、UFCはさらなる進化を遂げていくことになります。

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