ダン・スバーン

ダン・スバーン：野獣の軌跡

ダン・スバーン（Dan Severn, 1958年6月8日 - ）は、アメリカ合衆国ミシガン州コールドウォーター出身のプロレスラー、総合格闘家です。その強靭な肉体と卓越したレスリング技術から「ザ・ビースト（野獣）」の異名を持ち、UFCスーパーファイト王座を獲得、UFC殿堂入りも果たしています。

生い立ちとレスリング

スバーンは中学時代にバスケットボール選手として活躍していましたが、高校からレスリングを始めると、その才能を開花させます。1976年にはグレコローマンとフリースタイルで全国優勝を果たし、最優秀選手に選ばれるという輝かしい実績を残しました。アリゾナ州立大学時代には、オールタイムアメリカンに2度選出されるなど、アマチュアレスリング界で確固たる地位を築きました。

総合格闘技への挑戦

1994年、スバーンはUFC 4に参戦し、総合格闘技の世界に足を踏み入れます。総合格闘技では珍しい完璧なスープレックスを披露し、観客を魅了しました。決勝ではホイス・グレイシーと対戦し、敗れたものの、その善戦ぶりは高く評価され、スバーンの評価を高める契機となりました。スバーンの参戦は、UFCに本格的なレスラーが参戦する先駆けとなり、後にドン・フライやマーク・コールマンといったレスラーたちがUFCに参戦する道を開きました。

1995年、UFC 5のトーナメントで優勝、Ultimate Ultimate 1995でも優勝を果たし、その実力を証明しました。1996年には、ケン・シャムロックとの再戦を制し、UFCスーパーファイト王座を獲得。しかし、1997年のUFC世界ヘビー級王座決定戦ではマーク・コールマンに敗れ、王座獲得には至りませんでした。

その後もPRIDE.1に参戦するなど、様々な舞台で活躍しましたが、2005年にはUFC殿堂入りを果たし、その功績が称えられました。

プロレスラーとしての活躍

1992年、スバーンはUWFインターナショナルのリングで初来日を果たします。これは、当時UWFインターナショナルの最高顧問を務めていたルー・テーズの推薦によるものでした。テーズはスバーンを「典型的なシューター」と評し、日本での活躍を期待していました。

1998年にはWWF（現WWE）に登場。新日本プロレスやZERO-ONEなど、日本の様々なプロレス団体にも参戦しましたが、プロレス特有の技術に苦戦し、スポット参戦に留まりました。

スバーンのスタイルと得意技

スバーンのファイトスタイルは、卓越したレスリング技術とパワーを前面に押し出したものです。特に、以下の技は彼の代名詞と言えるでしょう。

肩固め: レスリング仕込みのグラウンドテクニックから繰り出される様々な体勢からの肩固めは、相手を苦しめました。
スープレックス: 黎明期のUFCで多用したスープレックスは、スバーンの代名詞とも言える技です。
バック・トゥ・ベリー・パイルドライバー: プロレスの試合で見せる垂直落下式の変形水車落としは、危険な角度から落とすスタイルで、強烈な破壊力を誇っていました。

殿堂入りとその後

2005年のUFC殿堂入りに加え、2010年にはNWA殿堂入り、2014年にはSHERDOG殿堂入りを果たすなど、その功績は多岐にわたって評価されています。プロレス、総合格闘技の両面で大きな足跡を残したダン・スバーンは、まさに「野獣」の名にふさわしい、伝説的なファイターと言えるでしょう。


獲得タイトル
レスリング世界ジュニア選手権 男子フリースタイル90kg級 優勝（1977年）
レスリングパンアメリカン選手権 男子フリースタイル100kg級 優勝（1986年）
UFC 5トーナメント 優勝（1995年）
Ultimate Ultimate 1995トーナメント 優勝（1995年）
第2代UFCスーパーファイト王座（1996年）
CFAスーパーヘビー級王座（2000年）
WEFスーパーヘビー級王座（2000年）
Gladiator Challengeスーパーファイト王座（2005年）
WVFスーパーヘビー級王座（2007年）
Elite 1ヘビー級王座（2011年）

表彰
サンボ スポーツマスター
UFC殿堂入り（2005年）
NWA殿堂入り（2010年）
* SHERDOG 殿堂入り（2014年）

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