UNIX International

Unix International（UI）は、1988年に設立された業界団体であり、オープン標準、特にUNIXオペレーティングシステムの普及を促進することを目的としていました。この組織は、当時のUNIX市場における主要なプレーヤーであったAT&Tとサン・マイクロシステムズによって主導されました。

UIの設立背景には、当時の業界における競争激化がありました。AT&Tとサン・マイクロシステムズの協力関係に対抗するため、Open Software Foundation（OSF）が結成され、これに対抗する形でUIが設立されたという経緯があります。この状況は、1980年代後半から1990年代初頭にかけての「UNIX戦争」として知られる、業界内での激しい競争を象徴するものでした。

UIには、サン・マイクロシステムズと関係の深い富士通、通信事業でAT&Tとも関係の深い日本電気（NEC）および東芝といった日本企業も参加しました。これらの企業は、UIの活動を通じて、UNIXシステムの標準化と普及に貢献することを目指しました。

しかし、業界の状況は常に変化し続けていました。1993年、UIとOSFの主要メンバー企業は、共通のオープンソフトウェア環境（Common Open Software Environment：COSE）イニシアティブを立ち上げることを発表しました。これは、業界全体がより協力的な方向に進むことを示唆するものでした。

その結果、UIとOSFは最終的に合併することになり、1994年3月には新たなOSFに統合されました。この統合は、UNIX戦争の終結を意味し、業界全体がより協調的な方向に進むことを示唆するものでした。さらに、1996年にはこの新たなOSFがX/Openと合併し、The Open Groupが結成されました。The Open Groupは、現在もオープン標準の策定と普及に貢献する主要な組織として活動しています。

UIの歴史は、UNIXオペレーティングシステムの発展と、その過程における業界内の競争と協調の変遷を理解する上で重要な一例です。この組織の設立、競争、そして最終的な統合は、業界の成熟とオープン標準への移行を象徴する出来事と言えるでしょう。

参考文献

Chapter 11. OSF and UNIX International (Peter H. Salus, The Daemon, the GNU and the Penguin)
UI / OSF merger announcements

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