USIT

統合的構造化発明思考法（USIT）とは

統合的構造化発明思考法（Unified Structured Inventive Thinking, USIT）は、問題解決のための効果的な思考法であり、特に技術的な課題に対して創造的な解決策を生み出すのに役立ちます。USITは、単にアイデアを思いつくのではなく、体系的な手順に従って問題を分析し、革新的な解決策を導き出すことを目指します。

歴史

USITは、1990年代前半にRoni Horowitz博士らが、TRIZ（発明問題解決理論）をより使いやすくすることを目的として発展させた体系的発明思考法Systematic Inventive Thinking（SIT）を基礎としています。その後、改良型体系的発明思考法Advanced Systematic Inventive Thinking（ASIT）として知られるようになりました。

1995年、Ed Sickafus博士がフォード自動車にSITを導入し、自動車業界での問題解決に適応させるために工夫を重ねました。その結果、1997年にフォード社からテキストが出版され、Sickafus博士は自身の手法を「統合的構造化発明思考法」（Unified Structured Inventive Thinking, USIT）と命名しました。

2000年以降、フォード社はUSITを社外にも広く普及させ、現在ではアフリカ、アジア、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパの個人、企業、機関で利用されています。USITに関する小講座を掲載した会報は、日本語、スペイン語、韓国語に翻訳され、2007年4月時点で合計43報が発行されています。

USITの概要

USITは、あらゆる事象を「構成要素（Object）」「属性（Attribute）」「機能（Function）」の3つの要素で表現できると考えます。この考え方を基礎として、問題を構造的に捉え、解決策を導き出すためのステップを以下のように定めています。

1. 問題に取り組む範囲の仮決め: まず、解決すべき問題の範囲を明確に定義します。これにより、焦点を絞り、効率的に解決策を検討することができます。
2. 問題分析: 問題の構造を分析し、問題の本質を理解します。これにより、問題をより具体的な要素に分解し、解決すべき点を明確にします。
3. アイデア出し: 分析結果に基づいて、さまざまな解決策を検討します。USITは、体系的な手順に基づいてアイデアを出すため、単なる思いつきではなく、より効果的な解決策を見つけ出すことができます。

その他の情報

USITに関する情報は、ウェブサイトで無料の電子書籍、会報、転載記事などを通して入手することができます。会報は日本語、スペイン語、韓国語版が提供されており、国際的に広く利用されています。USITのテキストに関する情報も掲載されています。

書籍

“Unified Structured Inventive Thinking － How to Invent (統合的構造化発明思考法 － 発明のしかた)” by Dr. Ed. N. Sickafus, ISBN 0-96594350-X, Ntelleck, LLC, 1997

電子書籍

“Unified Structured Inventive Thinking － an Overview (統合的構造化発明思考法 － 概説)”
スペイン語訳
日本語訳
“Heuristics for Solving Technical Problems － Theory, Derivation, Application”

会報

U-SIT and Think Newsletter
スペイン語訳
日本語訳
韓国語訳

転載/随筆

“Injecting Creative Thinking Into Product Flow (モノ作りに創造的思考を吹き込む)”
“Problem Statement (問題文)”
“Metaphorical Observasions (比喩に関する気づき)”

脚注

関連項目

因果律、問題解決
トヨタ生産方式（TPS）、制約条件の理論（TOC・ボトルネック）：全体最適・利益最大化に関する体系的な理論
帰納：なぜ？、本質・真因追究、メカニズム推定
アナロジー：類比・類推・フラクタル・曼荼羅・ひらめき・ヒューリスティック
演繹
MECE：網羅的なアイデア出し、リスクアセスメント、危険予知、論理思考
* TRIZ、品質工学・シックス・シグマ：技術課題解決・品質安定化に関する体系的な理論（USITに含まれる）

USITは、技術的な問題解決だけでなく、ビジネスや日常生活におけるさまざまな問題に対しても応用できる汎用性の高い思考法です。この手法を学ぶことで、より効果的な問題解決能力を身につけることができるでしょう。

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