UTA航空772便爆破事件

UTA航空772便爆破事件

UTA航空772便（Union des Transports Aériens Flight 772）爆破事件は、1989年9月19日に発生した、リビアのテロリストによるフランスの民間航空機への攻撃です。この事件は、航空機の安全性を問う大きな問題を提起し、国際的なテロとの戦いにおける重要な出来事として記憶されています。

事件の概要

UTA航空772便は、コンゴ共和国のブラザビルを出発し、チャドのンジャメナ、フランスのマルセイユを経てパリ行きの予定でした。使用されていた機体はDC-10-30（機体記号:N54629）で、ンジャメナの空港を離陸後、35,000フィートで巡航中に貨物室内で爆発が発生しました。この爆発により操縦席の近くが分断され、機体は数分後の現地時間午後1時35分頃、ニジェール中部ビルマのサハラ砂漠に墜落しました。

搭乗者は乗員14名、乗客156名の合計170名おり、全員が命を落としました。事故現場には広範囲にわたり機体の残骸が散乱し、悲惨な光景が広がっていました。

事故の背景

事件の背景には、ブラザビルで搭乗しンジャメナで降りた乗客が持ち込んだスーツケースに高性能爆弾が仕掛けられていたことが挙げられています。航空機の残骸からは、爆破に使用されたペンスリットという高性能爆発物が発見されました。

フランス当局はこの事件をリビアによるテロ事件と認定し、動機にはリビアがフランスのチャドに対する軍事的関与に対しての反発があったとされています。この事件に関与したとされるリビア人5名が告発されましたが、事件発生から数年の間、Liビア政府は公式な責任を否定しました。

しかし、2003年になってリビア政府は事件に対する法的責任を認め、犠牲者の家族に対して補償を行うことを発表しました。このことは国際社会におけるテロに対する責任を問う動きの一環とされ、多くの注目を集めました。

関連項目

この事件は、同年に発生したパンアメリカン航空103便爆破事件（1988年、リビアによる航空機テロ）と同様に、航空機に対するテロ攻撃の一環として捉えられています。これらの事件は、国際的な航空安全基準の見直しや、航空機へのセキュリティ強化を促す重要な要因となりました。

航空機テロの危険性は今なお存在し、UTA航空772便の悲劇は、航空業界や国際社会がテロに立ち向かうための教訓を与え続けています。

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