UTA

UTA（フランス航空連合）の歴史

UTA（Union de Transports Aeriens）は、1963年に設立されたフランスの国際航空会社です。その歴史は、1946年に設立されたT.A.I.（Transports Aériens Intercontinentaux）と、1950年に設立されたUAT（Union Aéromaritime de Transport）という二つの航空会社に遡ります。

前身：T.A.I.とUAT

T.A.I.は、パリ・マルセイユ線から運航を開始し、ダグラスDC-4型機やDC-6型機を主力として、ハノイ、アンタナナリボ、アビジャン、ダカールなどへの路線を展開しました。また、ショート ソレント飛行艇のリースや、シュド・エスト SE.2010型機の試験運用も行っていました。1953年には、DC-6B型機を導入し、サンタモニカ・パリ間のノンストップ飛行に成功するなど、技術的な挑戦も積極的に行っていました。1958年にはボラボラ空港の滑走路拡張に伴いDC-6B型機の乗り入れを開始し、1960年にはタヒチ・ファアア国際空港開港に合わせてDC-7C型機を就航させ、パリ発着のバンコク経由ホノルル路線も開設しました。

一方、UATは、パリ・ダカール線を開設し、西アフリカへの定期航路を展開しました。初期にはダグラスDC-3型機やDC-4型機を使用し、後にデ・ハビランド コメット1型機を導入しましたが、事故により運行停止となり、ダグラスDC-6B型機を主力としました。UATは1961年のエール・アフリック設立時に機材貸与などの事業協力を行っており、航空輸送部門を同社に継承させました。

UTAの誕生

1950年代後半には、両社ともに、植民地の独立や内戦、安全上の問題など、多くの困難に直面しました。1956年にはT.A.I.のDC-6B型機がカイロで事故を起こし、1959年にはボルドーで墜落事故を起こし安全への信頼性を失墜。UATもコメット型機の運用停止で機材不足に陥り、中古のDC-6A型機を旅客型に改修せざるを得ない状況になりました。このような状況下で、経営難に陥った両社は、合併によって再建を図ることになり、1963年10月1日にUTAが誕生しました。社名は「Union de Transports Aéromaritime」と誤記されることも多かったようですが、UTAの略称は「UAT」と間違えられる以外は抗議しなかったといいます。

UTAの事業展開

UTAは、設立当初からエール[[フランス]]との間で路線配分をめぐる競争を繰り広げました。フランス政府の介入により、UTAは主にアフリカからオセアニアにかけての南半球路線を割り当てられ、独占権を与えられました。その後、アメリカとの以遠権交渉が成立し、サンフランシスコやロサンゼルス経由でオセアニアへの路線を拡大しました。

1970年代には、エアバスの輸送運航やスーパーグッピーの保有分担を引き受け、1974年には東京国際空港（羽田空港）に就航しました。この路線は、ヌメア発着でサンフランシスコやニューヨークを経由してパリに向かうもので、機材メンテナンスの都合も考慮したものでした。当初はDC-8型機、その後はDC-10型機を使用していましたが、1980年頃からは日本航空との間で共同運航便も設けられました。1990年代には、エール[[フランス]]との統合により、ボーイング747型機が成田空港に乗り入れるようになりました。2020年以降は、ニューカレドニアへの路線はエアカランによって運航されています。

UTAの終焉

1980年代に入ると、航空業界は規制緩和が進み、競争が激化しました。UTAは、エール[[フランス]]などとともに、路線網の統合や合理化を迫られ、人員削減や給与カットも余儀なくされました。労組との交渉が決裂し、経営破綻の危機に瀕したUTAは、1990年1月12日にエール[[フランス]]の傘下に入り、1992年12月18日に吸収合併されて消滅しました。

UTAの機材と特徴

UTAの機体は、尾翼付近が紺色で、それ以外は白という塗装が特徴的でした。特に、ドアだけが緑色に塗られていた点が印象的でした。

主な運航機材は以下の通りです。

ダグラス DC-6
ダグラス DC-8
マクドネル・ダグラス DC-10
[ボーイング747]

UTAのエピソード

UTAは、1984年の日本映画「天国にいちばん近い島」に、スポンサーとして協力し、DC-10旅客機が登場しました。また、テレビ番組「新婚さんいらっしゃい!」の賞品として、ニューカレドニア旅行を提供していたこともあります。

参考文献

* 賀集章「消えたエアライン」（2003年・山海堂）ISBN 4381104870

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