Ubuntu Edge

Ubuntu Edge：幻のハイエンドスマートフォン

Ubuntu Edgeは、カノニカルが「スーパースマートフォン」と位置づけ、開発を計画していたスマートフォンです。一般販売は予定されておらず、先進的な技術に興味を持つアーリーアダプター向けの実験的なデバイスとして位置づけられていました。その最大の特徴は、単体ではスマートフォンとして、ディスプレイとキーボードに接続すればデスクトップ環境として利用できるという「コンバージェンス」コンセプトにありました。

高いスペックと先進的な技術

Ubuntu Edgeは、当時のスマートフォンとしては非常に高いスペックを有していました。

コンバージェンス: モバイル環境とデスクトップ環境を統合し、シームレスな利用体験を提供することを目指していました。
ディスプレイ: サファイアガラスを採用し、ダイヤモンド以外のあらゆるものからの傷を防ぐ高い耐久性を誇っていました。
バッテリー: シリコンアノード・リチウムイオン電池を搭載し、長時間の駆動と高速充電を実現する予定でした。
パフォーマンス: マルチコアCPU、大容量メモリ、SSDを搭載し、フルデスクトップ環境の動作にも十分なパフォーマンスを発揮するとされていました。
* デュアルブート: AndroidとUbuntu Touchのデュアルブートに対応し、Ubuntu Touchアプリの不足を補完する目的でAndroidも搭載していました。

製造メーカー、CPU、GPUは未定でしたが、ハイエンドスマートフォンとしての高い性能を目指していたことは明らかです。

クラウドファンディングによる資金調達

Ubuntu Edgeは、Indiegogoでのクラウドファンディングを通じて資金調達を試みました。目標金額は3200万米ドル（約32億円）で、この資金で4万台の端末を製造する予定でした。

カノニカルの創設者であるマーク・シャトルワースは、このプロジェクトを単なる資金調達だけでなく、開発者、イノベーター、アーリーアダプターを直接結びつける社会実験としての意味合いもあると説明しました。クラウドファンディング開始当初、Ubuntu Edgeの権利（perk）は830ドルでしたが、初日限定で600ドルで提供されました。募集開始から5時間で100万ドル、24時間後には300万ドル以上を集めることに成功しましたが、その後価格がスライド方式に変更されました。

様々なキャンペーンが行われた結果、開始から10日後には目標金額の25%を達成しましたが、最終的には12,814,196ドルしか調達できず、プロジェクトは中止となり、全額返金となりました。

結論

Ubuntu Edgeは、革新的なコンセプトと高いスペックを持ったスマートフォンとして注目されましたが、目標金額の調達に失敗し、実現には至りませんでした。しかし、このプロジェクトはクラウドファンディングの可能性と限界を示す事例として、また、ハイエンドスマートフォン市場における実験的な試みとして、その名を歴史に刻んでいます。


Indiegogo Ubuntu Edgeプロジェクト

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